フィリピンの郵便局の役割や郵便物の受け取り方は、日本とは大きく違います。
フィリピンへ荷物を送るときに戸惑わないために、フィリピンの郵便事情をしっかりと理解しておきましょう。
この記事では、フィリピンの知り合いや家族へ、手紙や小荷物を国際郵便で送る人に向けて、フィリピンの郵便局の特徴や、問題が起きたときの対処法について解説していきます。
目次
日本とは違うフィリピンの郵便事情
はじめに、フィリピンの郵便システムと郵便局について、押さえておきたい3つの特長を説明します。
フィルポストとポストステーション
フィリピンの郵便局には、国営のPHLPOST(フィルポスト)と、政府から許可された民間が経営しているポストステーションの二種類あります。
フィルポストは、日本の郵便局とほぼ同じ性格で、マニラやセブ、ダバオなど大都市を中心に9箇所のセントラルオフィス(中央郵便局)、そして全国1,383箇所に支店を構えています。
一方、ポストステーションはフィルポストを補完する郵便局として、ホテルやショピングモールに出店していています。
日本から送られてきた郵便物は、宛先に近いフィルポストの中央郵便局、または地域の支店に届きます。
郵便物は配達されない
フィリピンの街中にはポストがありませんので、郵便物を送る場合は、郵便局に出向いて手続きを行います。
また、郵便配達員もいないので、届いた郵便物や荷物も、受取人が郵便局へ取りに行くシステム。
郵便局の役割は、送られてきた荷物の分類や整理・保管で、集荷や配達業務にはほとんどかかわりません。
つまり受取人や差出人への直接的なサービスはナシ。
日本の郵便システムがどれだけ便利かがわかります。
フィリピンには番地がない
日本の住所は
郵便番号〇〇〇〇 -〇〇〇
〇〇都道府県〇〇市区〇〇1-2-3
言った感じですが、フィリピンには番地がなく、住所の最後はほとんどが、「通り」の名前で終わります。
たとえば
東京都渋谷区代々木明治通り
こんな感じ。
これで届くのかと不安になりますが、宛先へ配達するのではなく、郵便局へ運ぶだけですので、最寄りの郵便局がわかれば良いのです。
郵便番号は3桁または4桁です。
※送り先がサブデビジョンやマンション、オフィスビルの場合は、宛名には部屋番号まで記載します。
日本からフィリピンへ郵便物を送る
フィリピンへ荷物を送る方法と到着までの日数、そして追跡手段について説明します。
国際郵便物の種類
日本の郵便局からフィリピンへ荷物を送る場合は、「国際スピード郵便(EMS)」、「航空便」、「エコノミー航空便(SAL)」、そして「 船便」の4つの手段があります。
航空便、SAL便、 船便は、国際小包と呼ばれています。
・EMS
郵便局で取り扱っているサービスの中で、フィリピンへ最速で届く国際スピード便です。
インボイスの作成など多少の手間はかかりますが、荷物の追跡も行えます。
・国際小包
専用のラベルに必要事項を記載して荷物に貼るだけの国際小包は、手軽さが特長です。
料金は、1週間程度で到着する航空便、日本とフィリピン国内では船便として扱われ、両国間は航空便で運ばれるSAL便、そして全行程を船で運ぶ船便の順に安くなります。
手紙や小荷物にかかわらず、1日でも早く届けたい方はEMSか航空便、大きな荷物を送る場合や、安く送りたい方は船便がオススメです。
詳しくは郵便局のサービス比較表をご覧ください。
配達先によって異なる到着日数
日本から届いた荷物は、マニラがあるルソン島の港、または空港に到着します。
日本の郵便局が管轄するのは、港または空港までで、そこからはフィリピンの郵便局または配送業者が、荷物を目的地まで運びます。
郵便局のお届け日数の目安は、あくまでルソン島の港または空港に届くまでの日数で、セブ島など他の州の場合ですと、そこからまた船で荷物が運ばれるため、よけいに日数がかかります。
追跡サービス
国際スピード郵便(EMS)を利用した方は、郵便局のホームページから発送状況を確認することができます。
(国際小包は不可)
EMS配達状況のご確認ページから、13桁のお問い合わせ番号を入力して確認します。
ただし、追跡できるのはマニラの港または空港までです。
フィリピン国内の追跡は、フィルポストのトラッキングページ(英語)から確認することができます。
郵便物の受け取り方
いままで郵便局に行ったことがないフィリピン人は、たくさんいます。
まして、受取人が日本人で、はじめて海外からの荷物を受け取る場合は、受け取り方を知らないと思いますので、日本から届いた荷物の受け取り方法について説明します。
郵便局からの連絡
管轄の郵便局へ荷物が届くと、受取人へテキスト(携帯メール)が送られてくるか、またはMail Pick-up Noticeというメモが、受取人の住所に届きます。
どちらの方法が用いられるかは郵便局次第ですが、テキストでの連絡に備えて、送り状には受取人の携帯番号も記載しておきましょう。
実は稀に、受取人の住所まで荷物を届けてくれることがあるのですが、大きな集合住宅やマンション、オフィスビルなどで、他にも配達する荷物があった場合など、それは限られたケースですので期待するのは止めましょう。
受取り
郵便局から連絡が来たら、指定の郵便局へ荷物を取りに行きます。
中央郵便局の場合は、人が多いため待ち時間がかかります。
僕の経験では30分は待たされます。
一方、支店の場合は人が少ないのでほとんど待ち時間なく受け取ることができます。
受け取る際には、フィリピン人でしたら国民ID、日本人の場合はパスポートを提示し、所定の用紙に受取のサインをし荷物を受け取ります。
気を付けておきたいことは荷物の重さです。
EMSや国際小包は30kgまで発送が可能なのですが、30kgと言えば、ひとりで手で運べる重さではありません。
郵便局員も手伝ってはくれませんので、重い荷物の場合はタクシーなどの車を手配しておきましょう。
手数料
日本とは異なり、フィリピンでは受取人も郵便手数料を支払わなければなりません。
手数料はひとつの荷物につき約200円。
理由はわからないのですが、関税の支払を要求される場合もあります。
フィリピンはルールがマニュアル化していないため、このあたりは郵便局員によって対応が異なります。
受取人がフィリピン人でしたら、不当な請求に対してクレームを付けることもできますが、日本人の場合は、言われた通り従うしかありません。
よくある郵便トラブル
最後に、フィリピンならではのよくある郵便トラブルとその対処法を3つ紹介します。
中身が開封される
マニラの関税では、荷物の中身を確認する作業が行われます。
インボイスに書かれているリストと荷物を付け合わせるような細かな作業までは行っていないようですが、中身がぐちやぐちゃになって届く場合があります。
また、開封時に中の品物をくすねる悪い奴もいます。
これは注意のしようがありませんので、本当に紛失しては困るものは自分で持って行くか、または損害賠償制度があるEMSを利用してください。
荷物が壊れて到着した場合や、内容品が不足している場合は、最高200万円を限度とする実損額が賠償されます。
届かない
いつまでたっても届かない場合は、マニラのコンテナで放置されている可能性があります。
発送から2か月以上たっても郵便局から連絡がこない場合は、トラッキングナンバーを持って最寄りの郵便局へ問い合わせをしてください。
あまりあてにはならないのですが、一応調べてくれます。
紛失の危険が高い荷物
僕の経験上、段ボール箱に入った大きな荷物は、いままで確実に届いていますが、手紙や封書は、何回か届きませんでした。
小さな荷物は配送中に紛失してしまう危険があり、また紛失したらまず出てきません。
重要な書類は郵便ではなく、目的地までの追跡ができるFedExなどの国際宅急便を利用した方が良いと思います。