フィリピンにおけるキャッシュレス決済の利用状況と、どんなメリットがあるかについて、フィリピンで生活し、実際にキャッシュレス決済を利用している僕が解説します。
この記事は、フィリピンに来る人に向けて、キャッシュレス決済の利用方法を説明するものではありません。
理由は、旅行や留学など短期でフィリピンを訪れる人にとって、キャッシュレス決済はメリットがないからです。
フィリピンに知り合いや彼女がいる方にむけて、フィリピンのキャッシュレス決済の現状について説明します。
目次
フィリピンのキャッシュレス決済の普及率
キャッシュレス決済には、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、そしてQRコードを利用するモバイルウォレットの4種類がありますが、フィリピンのキャッシュレス決済は、ほとんどが銀行口座を持っていなくても利用できるモバイルウォレットです。
よって、フィリピンでモバイル決済、電子マネー、キャッシュレス決済と言ったら、それはモバイルウォレットとほぼ同義語です。
フィリピンでは2001年からキャッシュレス決済の利用がはじまりました。
日本のSUICAが利用された年と同じです。
しばらくの間、利用率は伸び悩んでいましたが、政府と中央銀行がキャッシュレス決済の利用を強力に推し進めた結果、2018年の時点での利用率は20%まで拡大しました。
調査対象 | 支払い合計 | キャッシュレスペイ | キャッシュレス率 |
個人 | 27,480 | 7,010 | 25% |
ビジネス | 84,560 | 12,530 | 15% |
政府 | 6,080 | 4,850 | 80% |
合計 | 118,130 | 24,390 | 20% |
出典元 : Better Than Cash Alliance
フィリピン中央銀行(BSP)では、2020年までに30%の利用率を目指し、さらに経済の効率化のためにデジタル通貨やデジタル送金を推進していく予定です。
ちなみに、経済産業省の「キャッシュレスの現状及び意義」レポートによると、2018年現在、日本のキャッシュレス決済利用率は24.1%
うち、約8割がクレジットカードです。
コロナ禍でキャッシュレス決済が急増
2020年に発生した新型コロナウイルスによって、フィリピンでは長期間、ロックダウンの規制が敷かれています。
外出やお店の営業に強い制限がかかったことで、国民はお買い物はデリバリーを利用するようになり、お店では感染リスクを抑制するために、客の体温検査や、フェイスシールドの着用を義務付けています。
そんな中、非接触で支払いができるキャッシュレスの電子マネーの利用者は急増し、現金でのやり取りが基本だったフィリピンの社会が一変しました。
今後、コロナ禍が終息しても、この状況は変わることはないと思います。
キャッシュレス決済のメリット
フィリピン人にとって、キャッシュレス決済のメリットは、銀行口座を持っていなくても利用できることです。
世界銀行の調査では2017年現在、フィリピン人の銀行口座保有率は31.8%。
日本の98.2%と比較して格段に低く、口座を持っていなければクレカやデビットカードはつかえません。
反対に、スマホの普及率は高いため、QRコードをスマホで読み取るモバイルウォレットは、誰もがつかえるメリットがあります。
モバイルアプリからは、店舗での支払いだけでなく、公共料金支払いやアプリ同士での送金、そして現金化もできるのでとても便利。
クレカや銀行口座に紐づけされていないため、入金(チャージ)には多少の手間がかかりますが、支払いだけならメリットしかありません。
短期滞在者にキャッシュレス決済のメリットなし
電子マネーアプリへの入金はペソなので、フィリピンのセブンイレブンや、ショッピングモールのサービスカウンターから入金するか、または、フィリピンで発行されたクレカからしか入金できません。
短期滞在者が利用する場合は、まず現金をアプリにチャージする必要があります。
なので、チャージしないで現金で支払った方が早いです。
日本のSUICAやPASMOも、クレカや銀行口座からオーチャージできるから便利なのであって、残高が少なくなるたびに券売機で現金をチャージしなければならないのなら面倒ですよね。
また、日本で発行されたクレカや日本の銀行口座とは紐づけできないので、短期滞在者にとってキャッシュレス決済は無用。
現金決済の方が簡単です。
フィリピンて利用されているキャッシュレス決済
フィリピンのキャッシュレス決済を4つご紹介します。
現在はGCashとPayMayaが大きなシェアを持っていて、GRAB PAYとCoins.phは、今後、シェアを拡大していく可能性のあるサービスです。
GCash(ジーキャッシュ)
フィリピンの大手通信会社のひとつ、Globeが運営するサービスで、フィリピン最大の電子決済プラットフォーム。
ユーザー数は2,000万人と、フィリピン人の約2割が加入しています。
日本のSBペイメントがGCash提携していて、日本からフィリピンへ、モバイル決済で送金ができます。
PayMaya(ペイマヤ)
フィリピンの大手モバイル通信会社のひとつ、Smartか運営するサービス。
フィリピンの教育機関が、学費の支払いに公認しているほど、信頼があります。
SmartのプリペイドSIMから登録ができるので、観光で訪れた日本人も利用することができます。
GRAB PAY(グラブペイ)
大手配車サービス企業が運営するキャッシュレス決済サービス。
スタート時はタクシーやデリバリーの支払い、および携帯電話の通話料のチャージに特化していたのですが、現在ではリアル店舗での決済にも対応。
今後、シェアを拡大していくものと思われます。
Coins.ph(コインズ ピーエイチ)
2014年にシリコンバレーの起業家Ron HoseとRunar Peturssonがフィリピンで始めたビットコイン取引のプラットフォーム。
送金や受け取りなどのサービスは、他のモバイルアプリと大差ありませんが、ペソと仮装通貨を交換できる点が特色です。
日本での利用方法とメリット
ご紹介したキャッシュレス決済は、フィリピン国内で利用するサービスのため、日本でこれらのサービスを利用することはできません。
但し、あなたのスマホがSIMフリーでしたら、フィリピンのSIMカードに差し替えることで、アプリが利用できるようになります。
SIMカードはAmazonからでも購入できます。
Amazon フィリピンSIMカードのページ
また、PayPalやSBIレミテットなどの送金サービスを通すことで、各キャッシュレス決済のアプリに送金することができます。
まとめ
- フィリピンのキャッシュレス決済の普及率は2割。コロナの影響で爆増中
- キャッシュレス決済とは、スマホでQRコードを読み取るモバイルウォレット
- 短期滞在者にとって、キャッシュレス決済はメリットなし
- 利用者数が多い決済アプリは、GCashとPayMaya
- 日本で利用するためにはフィリピンのSIMカードか、第三者の送金サービスを通す必要あり