フィリピンの銀行に個人口座を開設する方法と注意点を徹底解説

現地生活

フィリピンの銀行に口座を持っている僕が、フィリピンの銀行の特徴と、銀行口座を開設する方法について説明します。

フィリピンに居住を予定している方や、海外の銀行に興味のある人は参考にしてください。

僕はビザの取得用に開設したフィリピンの中堅の銀行と、日本に支店のある大手銀行の口座のふたつを持っています。

はじめに2020年現在の状況を伝えておきます。

フィリピンで銀行口座を開設する条件は厳しくなってきていて、現在はフィリピンのIDと居住証明を持っていない非居住者は口座を開くことはできません。

  • 銀行口座の開設には、フィリピンの居住者であることの証明が必要です
  • 観光ビザや留学ビザで入国する人は、口座は開設できません
  • マネーロンダリング防止のため、個人口座の開設には厳格な審査があります

フィリピンの銀行に口座が開設できる条件

銀行によって多少、必要書類が異なりますが、口座を開設するためには、ワーキングビザや永住ビザ、ACR-Iカード(外国人登録証)など、フィリピンに6か月以上滞在することを証明するビザやID。
また、フィリピンの運転免許証や光熱費の請求書など、現地で生活していることを証明する書類が必要になります。

ホームページに、「口座開設に必要なものは、パスポートとACR-Iカードのみ」と記載している銀行も見受けられますが、僕の経験では、現在、フィリピンの居住者であるか、または近々6か月以上、フィリピンに滞在する予定であることを証明するビザやIDも必要になっています。

日本にあるフィリピンの銀行の支店で開設する場合も同様で、観光や語学留学などでフィリピンに入国する非居住者は、基本的に口座を開設することはできません。

銀行口座の種類

フィリピンの銀行口座は、預け入れる通貨と利用できる範囲によって、口座のタイプが分けられています

通貨ごとの口座

フィリピンペソ、アメリカドル、そして日本円の口座を選べます。 
但し、ドルと円口座から、そのままドルや日本円で現金を引き出すことはできません。
ドル口座と円口座は、日本の銀行から送金するための口座で、現金化するためには、フィリピンの銀行でペソ口座に移動した後、ペソで受け取ります。


日本の銀行の海外送金サービスは、ほとんどがドルでの送金ですので、ペソとドルの二つの口座を開設すれば良いでしょう。

銀行口座のタイプ

口座は、利用できるサービスの範囲によって3種類あり、それぞれ開設にかかる費用や最低預金額が異なります。

ATM Account (引き出し専用口座)

ATMでお金の引き出し専用につかう口座です。
主に、企業が従業員のために開設するもので、個人で利用する口座としては不向きです。

Saving Account(普通預金口座)

日本の銀行の普通預金口座とほぼ同じです。
通帳とカードが渡されます。

Checking Account(当座)

通帳やカードに加えて小切手が使えます。

家賃や学費など定期的な支払いや、まとまったお金の支払いには小切手が便利です。

フィリピンの銀行の特徴

日本の銀行にはない、フィリピンの銀行ならではのコストとリスクを説明します。

口座維持費

口座のタイプにより、それぞれ最低の預金残高が設定されていて、最低残高を下回ると、自動的に口座から維持費が引き落とされます。


最低残高は2,000~3,000PHP (約4,300円~6,500円)。
最低残高を下回った場合の口座維持手数料は300~350PHP/月 (約650円~750円)


尚、ドル口座と円口座は、一定の残高を下回った場合、口座が自動的に閉鎖される場合があります。


僕が取引している銀行のケースですと、ドル口座の残高が200ドルを下回ったら口座は閉鎖され、口座に残っている残金は没収されます。

ペイオフは50万ペソまで

銀行がもしも破綻した場合は、フィリピン財務省の付属機関である預金保護機構(PDIC)が、預金を保護してくれますが、その上限は500,000PHP(約107万円)まで。
それ以上の預金は泣き寝入りとなります。


日本の銀行のペイオフの上限は1,000万円ですので10分の1。
多額の預金はリスクが伴います。

同じ銀行でも発生する手数料

同じ銀行でも、A支店からB支店に送金する場合には手数料が発生します。
相手にお金を送るとき、日本でしたら、例えばみずほ銀行同士なら、支店が違っても手数料はかかりませんが、フィリピンの銀行はかかりますので、自分の口座がある支店以外への送金には注意が必要です。


尚、ATMでの引き出しは、同じ銀行のATMマシンでしたら手数料は無料です。

日本人向けのフィリピンの銀行3選

フィリピンには547の銀行(2019年12月現在)がありますが、中でもメガバンクと呼ばれる大手銀行で、かつ、日本にも支店やジャパンデスクと呼ばれるサポート窓口があるる3行について紹介します。

BDO(バンコ・デ・オロ・ユニバンク)

  • 1,000以上の支店を持つフィリピンで最大手の銀行
  • 日本人をサポートするジャパンデスクがある
  • 日本の支店からフィリピンの口座を開設できる(フィリピンに一か月以上滞在する証明書など必要)
  • 日本支店の所在地:東京 (BDOレミットジャパン)

BDO 口座開設ガイドライン

メトロポリタン銀行(メトロバンク)

  • BDOに次ぐフィリピンで2番目に大きなメガバンク
  • 日本にも送金業務などを行う支店があり、日本語が堪能なフィリピン人スタッフのサポートが受けられる
  • メトロバンクに口座を持っていない人でも、フィリピンの銀行に都度送金ができる
  • 日本支店の所在地:東京、大阪

メトロポリタン フィリピン送金サービス

PNB(フィリピン ナショナルバンク)

  • 国営として発足した名門の銀行
  • 日本にも支店があり、フィリピンへの送金が行える
  • 日本の支店で、フィリピンの口座を開設できる
  • 日本支店の所在地:東京、名古屋

PNB Japan フィリピンに口座を開設する場合の流れ
 

銀行口座の開設の流れ

フィリピンでは、店員の接客態度が日本と違い、お客様第一主義ではなく、自分第一主義的な人が多いのですが、さすがに銀行の行員はエリートですのでちゃんとしています。

右も左もわからなくても、笑顔でやさしく教えてくれますので緊張しなくて大丈夫。
但し、英語力は必要なので、自信のない方は通訳を付き添いに頼むと良いでしょう。

  1. この記事の最初で説明したIDとパスポートを持参の上、口座を開設したい銀行の支店を訪問する(事前のアポイントメントは不要)
  2. 入口にいるガードマンに口座を開設したい旨伝える
  3. 番号札をもらって順番を待つか、すぐに口座開設カウンターに案内してくれる場合もあります
  4. 担当者から一通りの説明を聞いた後、必要書類を作成(このとき開設したい口座の種類を伝える)
  5. 書類とともにIDと預金する現金を提出(IDや証明書はコピーを取られます)
  6. 通帳はその日中の受け取りが可能。ATMカードやデビットカードは後日郵送されてくるか、または再来店して受け取ります。

アドバイス
・メガバンクの大型支店だと、30人待ちと言うことも珍しくありません。
時間に余裕を持っていきましょう。

・気軽に相談できる顔見知りの行員をつくっておきましょう。
困ったことが起きたとき、助けてくれますよ。

開設した銀行口座への送金方法

フィリピンの銀行口座に日本から送金する方法と手数料について説明します。

日本の銀行から送金する

最近はマネーロンダリング防止の観点から、どこの銀行も海外送金には慎重で、事前の申請や送金先口座の登録、本人確認書類、送金目的確認書類などが必要になっています。

また、口座を持っていない銀行からは海外送金はできません。

仕向送金手数料(オンライン送金)

  • みずほ銀行 2,500円/1件
  • 三井住友銀行 4,000円/1件
  • 三菱UFJ銀行 3,000円/1件
  • ゆうちょ銀行 3,000円/1件
  • セブン銀行 950円~2,000円(送金額による)
  • 楽天銀行 750円/1件 (別途 中間手数料)

2020年11月現在

海外送金サービスを利用

銀行口座からではなく、海外送金サービスを利用すると、もっと安く送金することができます。

・PayPal(ペイパル)
手数料 499円/1件 
通過換算手数料 送金額の4%


・TransferWise(トランスファーワイズ)
手数料 750円/1件(送金が5万円以上の場合は送金額の1%)


これらの海外送金サービスを利用するには事前登録が必要ですが、一度登録してしまえばカンタンに送金できるので、定期的に送金する場合はオススメです。

フィリピンの紙幣

銀行口座がなくても大丈夫!フィリピン人への送金方法

口座開設後の注意点

フィリピンの銀行に口座を開設して資金も入金した。
でも、利用を始める前に知っておきたい、フィリピンならではのトラブルやルールについて説明します。

お金が引き出せない

ATMでお金が引き出せないときがしばしばあります。

詳しい理由はわかりませんが、銀行がお金の準備をしていないか、本当にお金がないのか。
また、オフラインと言って、ネットワークの電源が切れていてATMが使えない場合もあります。


至急にお金が必要な場合、本当に困りますので、電子マネーなどを併用しておくことをおすすめします。

振り込み手続きが面倒

相手の口座にお金を振り込む場合は、基本的に相手の銀行で手続きをしなければなりません。
日本でしたら、例えばみずほ銀行から三菱UFJ銀行へ送金できますが、フィリピンの場合は振込先がA銀行なら、A銀行の支店にいかなければなりません。


また、相手には送金した人の名前が伝わりませんので、送金時に銀行からもらうトランザクション(振込先の口座や振込人名、金額などが記載された伝票)を相手に渡す、またはメールで送って知らせなければなりません。

資金移動はチェックされる

日本から送金したドルを、フィリピンの銀行でペソ口座に移動させる場合は、支店内の責任者へ報告し、許可を得なければなりません。
マネーロンダリング防止の観点から、海外からの送金および資金の移動は厳しくチェックされます。


窓口で多額の資金移動や現金の引き出しを依頼すると、「あっちで許可を得て来てください」と、その支店の責任者らしき人のところへ行くよう促されます。


1万ドル以上の資金移動は、銀行は管轄省庁へ報告する義務があるそうです。

まとめ

フィリピンの銀行では、日本の銀行同様に新規の口座開設が難しくなってきています。
それでも、ビジネスや移住のため口座が必要な方は、今回の記事を参考にしてください。
不安な方は、日本語ができる現地のエージェントに依頼するのも選択肢の一つです。


また、フィリピンはルールが頻繁に変更になるので、口座開設時には最新の情報を入手してください。

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