海外移住をするときに最初に悩むことがお金の移動。
住まいの契約や日用品の購入など、移住先に到着してすぐにまとまったお金が必要になってきますが、事前に現地の銀行口座を開設してお金を移動させていなければ当面の資金に困ります。
この記事では、日本にあるお金を海外でつかうための手段とおすすめの方法を案内します。
はじめに結論をいいます。
- 海外移住をしたばかりの時期はクレジットカード機能付きのデビットカードを利用する
- 移住後は現地の銀行で口座を開設し、日本の銀行に預金してあるお金を移動する
- もしものときのバックアップとして、海外送金サービスに登録しておく
目次
ハンドキャリーでお金を持ち込む
いちばんシンプルなのは、日本の銀行でまとまった現金を引き出し、そのお金をハンドキャリーで持ち込む方法です。
この方法には二通りあり、日本円を日本の両替店や銀行で現地通貨に両替して持ち込む方法と、もうひとつは日本円をそのまま移住先に持ち込み、移住先に到着したら日本円を現地通貨に両替する方法です。
この場合、各国で持ち込める現金の上限が決まっていますので注意してください。マネーロンダリングを防ぐため,各国の税関では出入国時に携行できる現金の額を定めていて、上限を超える額は持ち込みが禁止されているか、または出入国時に税関で申告する必要があります。
- インドネシア
1億ルピア(約74万円)以上は申告が必要
- タイ
5万バーツ(約17万円)以上の持ち込みは禁止。2万ドル(約208万円)以上の持ち込みは申告義務
- ベトナム
5千ドル(約52万円)、または1500万ドン(約68万円)以上の持ち込みは申告が必要
- フィリピン
1万ドル(約104万円)以上の現金は申告が必要。5万ペソ(約11万円)以上の持ち込みは禁止。
- マレーシア
1万ドル以上の現金、または1,000リンギット(約26万円)以上の持ち込みは申告が必要。
- シンガポール
2万シンガポールドル(約156万円)以上を持ち込む場合は申告が必要。
(2021年1月現在)
各国で、自国の通貨と米ドルでは、持ち込める上限や申告のルールが異なっています。
これらの上限を超える場合は、税関でその現金の使途を申告する義務があり、もし、申告をせずに見つかった場合は、多額のペナルティや強制送還といった厳しい措置が取られることになります。
とりあえず、持ち込み上限額以内のお金があれば大丈夫な方は、お金の移動はハンドキャリーが手軽です。
デビットカードでお金を引き出す
日本の銀行の円口座に預金されているお金を海外のATMで引き出す方法として、以前は各銀行が発行する国際キャッシュカードが利用されていました。
しかし、マネーロンダリング防止の観点から2015年ごろから国際キャッシュカードの発行は取りやめとなり、現在はデビットカードが主流となっています。
デビットカードがクレジットカードのキャッシングと違う点は、デビットカードは引き出しの上限が口座の預金額以内の利用に限られ、かつ、一回払いとなっている点です。
また、デビットカードは自分の預金から引き出すだけなので金利がかからないのも利点。
デビットカードは、銀行口座を持っている人ならば審査なしでつくれます。
- 海外のATMで現金が引き出せるデビットカード
銀行名 | カード名 | 引き出し手数料 |
SMBC信託銀行 | GLOBAL PASS | 3% |
ゆうちょ銀行 | mijica | 4% |
ソニー銀行 | Sony Bank WALLET | 1.79% |
スルガ銀行 | Visaデビット | 3% |
あおぞら銀行 | あおぞらキャッシュカード・プラス | 2.62% |
楽天銀行 | 楽天銀行デビットカード | 3.08% |
りそな銀行 | Visaデビット | 2.5% |
三菱UFJ銀行 | 三菱UFJデビット | 3% |
ジャパンネット銀行 | JNB Visaデビットカード | 3.08% |
住信SBIネット銀行 | ミライノデビット | 2.5% |
クレジットカードでキャッシング
クレカでキャッシングを行うことに抵抗を感じる人も居るかもしれませんが、海外ではクレカを持っていることが信用の証となり、ホテルなどではカードを利用しなくてもクレカの提示を求められることさえあります。
海外移住先として人気のある東南アジア諸国でも、2020年のパンデミック以降、クレカや電子マネーなどキャッシュレス決済の利用が急速に増えてきています。
クレカの利用手数料は、各国際ブランド(VisaやJCBなど)が決める為替の基準レートに、カード発行会社の外貨取り扱い手数料(1.3%~2.2%)が上乗せされますが、日本円を日本で現地通貨に両替した場合の手数料は約15%ですので、現金を両替するよりもクレジットカードを利用した方がお得なんです。
海外でつかえるクレジットカードは、おもにVisa、Mastercard、銀聯、JCB、American Express、Diners Clubの6の国際ブランドですが、中でもVisaとMastercardは、クレカを扱っているほぼすべての場所で利用できます。
海外でカードを紛失してしまったり、カード会社のトラブルなどで使えなくなってしまうことも考えられますので、できればこの両方のカードをもっていると安心です。
尚、クレジットカードを海外で利用する場合は、支払い方法を選ぶことはでず、1回払いかリボ払いのどちらかになるので注意してください。
口座がなくてもお金を移動する方法
海外送金サービスを利用すれば、現地の銀行口座をまだ開設していない人でも、日本からお金を送金し現地で受け取ることができます。
フィリピンへ送金する場合ですと、Western Union、SBIレミット、そしてセブン銀行 with BDO Unibankの3社が送金サービスを行っていて、日本から送られたお金は現地の質屋やショッピングモールのカウンターで受け取ることができます。
一度登録をすれば、あとはオンラインで送金手配ができますので、移住する前に手続きを済ませ、現地から送金指示をすることも可能。送金の限度額や回数は定められていますが、いざという時に役に立ちます。
電子マネーのアプリへお金を入金する
フィリピンのカフェやレストラン、ショッピングモールでは、ほぼ全店でGCashやPayMayaなどの電子マネーでの支払いができます。
電子マネーは日本のクレカや銀行口座とは紐づけができませんので、短期滞在者には不向きですが、PayPalやSBIレミテットなどの送金サービスを利用して各アプリに送金ができますので長期滞在者にとってはお金の移動手段のひとつになります。
送金の仕方
GCashのアプリは日本では使用できませんので、フィリピンに来てからダウンロードし、登録などの設定を行います。
SBIレミテットで送る
SBIレミテットへの登録、およびGCashのアプリの設定が完了したら、SBIレミテットからGCashのアプリへ直接送金できます。
PayPalで送る
PayPalのメリットは日本の銀行口座やクレジットカードと紐づけができる点ですが、フィリピンへお金を移動する場合は、日本のPayPalとフィリピンのPayPalの両方で会員登録をする必要があります。
お金の流れとしてはこのようになります。
日本の銀行口座またはクレカ→日本のPayPal→フィリピンのPayPal→GCash
少し複雑なのですが、登録や送金指示はネット上ですべて完結します。
アプリへ移動したお金は、そのまま電子マネーとしてショッピングや公共料金の支払いに利用できるほか、フィリピンで現金化することも可能です。
【まとめ】移住前に万全の準備を
海外移住をしたあとは、現地の銀行に口座を開設し、日本の銀行からお金を移動させるのがいちばんシンプルですが、口座を開設する前でも、デビットカードやクレジットカードでATMからかんたんに現金を引き出せますので心配しないでください。
しかし、デビットカードや送金サービスの申し込みは、日本在住時にしかできない場合がありますので、移住をする前に銀行やクレジット会社に確認しておいてください。