海外移住で非居住者!それでも利用できる6つの銀行を比較

海外への移住や赴任のため非居住者になった場合、基本的に現在もっている銀行口座をそのまま利用することはできなくなります。

でも、銀行に海外転出の届け出をすることにより、口座の維持や送金、入金などの機能がそのまま利用できる、非居住者向けのサービスが受けられる銀行もあります。

この記事では、非居住者でも利用できる口座やサービスを行っている銀行について、詳しく説明していきます。

非居住者とは

日本の所得税法上、日本に住所をもっているか、または現在まで1年以上、居所を持っている人は居住者と定義され、それ以外の人は非居住者として扱われます。

住所とは生活の実態がある拠点のことで、居所とはその人の生活の拠点にはなっていないが実際には生活をしている場所のことを指します。

また、銀行によっては、非居住者を「日本人で、外国にある事務所で働いている方、または海外に1～2年以上滞在している方および海外に2年以上滞在する目的で出国し海外に滞在している方」と定義しています。

これらは総合的な見地から判断されるため、一概には言えませんが、少なくとも住民票を抜いて2年以上海外移住をしている人は非居住者とみなされ、逆に、海外で暮らしているけど、住民票は残したままにしている人や、海外と日本を頻繁に行き来している人は居住者と判断される可能性が高いです。

国税庁 居住者と非居住者の区分について

銀行によって異なる海外移住者向けサービス

海外に移住しても、振り込みやお金の受け取りのために日本の銀行口座は残しておきたいと考える人は多いと思います。

しかし、日本の銀行は日本の居住者向けのサービスを行っているので、海外への転出届を役所へ提出し、非居住者になると、いままでと同様のサービスを受けることはできなくなります。

でも、メガバンクを中心に、口座を解約しなくても、現在の口座を非居住者向けの口座に変更するか、または日本国内に代理人を立てることで、口座は維持され、ネットを利用しての振込や残高照会、そして振込まれたお金の受け取りがそのまま利用できます。

但し、マネーロンダリング防止の観点から、非居住者になると海外への送金や未登録先への振込ができなくなったり、振込手数料が高額になるなどデメリットもあります。

• 銀行別 非居住者の口座利用の可否

海外移住者が利用できる銀行

海外移住者向けのサービスを行っている6行について詳細をご案内します。

三菱UFJ銀行

サービス内容

• 国内振込は原則、外国送金として取り扱われ、送金の依頼はインターネットバンキング（すでに契約済みの方のみ）、外為店頭窓口、またはテレビ窓口で受け付け

• 1ヵ月あたり500万円相当額以下であれば、事前登録のない送金先へもインターネットバンキングで外国送金が可能
• 定額自動送金サービスでの国内振込は利用可能

制限事項

• ATMとSTM(税公金・振込自動受付機)での国内振込は不可外国送金は三菱UFJ銀行の口座からの振込のみで、現金での送金は不可

• 非居住者あての振込は一旦保留され、送金人に送金目的などを確認したうえで可否が判断される

• 外国為替円決済制度の非加盟行宛ての送金は不可（ゆうちょ銀行、楽天銀行、SMBC信託銀行、ジャパンネット銀行等）

利用条件

非居住者向けサービス(グローバルダイレクト)は、既に三菱UFJダイレクトを契約している人が対象。また出国後の申し込みはできません。

三菱UFJ グローバルダイレクト

みずほ銀行

サービス内容

• 海外勤務者向け日本国内送金サービスを利用することで、インターネットバンキングから国内送金のみ可能
• 送金金額の上限は1日あたり500万円まで。(複数口座宛に送金する場合は、合計額の上限が500万円)

制限事項

• 海外への送金はできません
• ATMでの現金引き出しはできません

利用条件

みずほ銀行の海外勤務者向け送金サービスが利用できるのは、日本国内居住期間中にみずほダイレクトを契約していて、利用契約が継続中の方に限られます。

みずほ銀行 海外勤務者向け日本国内送金サービス

三井住友銀行

サービス内容

• ネットバンキングを利用して国内および海外送金ができます

• 国内振込の1日あたりの振込上限金額は1,000万円。海外送金は1日あたり300万円以内、1ヵ月あたり500万円以内で可能

制限事項

• キャッシュカードによる出入金およびATMでの振替はできません

利用条件

すでにSMBCダイレクトを利用されている個人が対象で、かつ、出国後の申し込みはできません。

SMBCダイレクト

ソニー銀行

サービス内容

• 日本国内の代理人を登録することで、ひきつづき口座の利用が可能
• 国内振込みは制限なく利用できる
• 国内他行からの振込の受け取りも可能
• Sony Bank WALLETで海外のATMでの現地通貨引き出しやショッピングが可能

制限事項

• 海外への外貨送金はできません
• WEB振込決済は利用できません

利用条件

ソニー銀行のMONEY Kitで国外への住所変更を行います。

ソニー銀行 海外送金　

SMBC信託銀行

サービス内容

• 非居住者になっても、ひききつづき現在の口座が利用可能
• 出国前に事前に登録した国内外の口座へ振込が可能
• 国内他行からの振込の受け取りが可能

• プレスティアゴールド会員(月間平均総取引残高が1,000万円相当額以上)は、海外のATM利用、国内円振込などの手数料が無料

制限事項

• 前月の月間平均総取引残高の外貨部分が20万円相当額以下、または取引残高が50万円以下の場合は、月額2,000円の口座維持手数料がかかる

• 出国後の新規振込先登録は不可
• バンキングカードによるATMでの振込、またプレスティアオンライン・モバイルでの国内の振込はできません
  

利用条件

SMBC信託銀行の本支店へ、住所変更届 兼 居住性変更に関する届出書を郵送します。

SMBC信託銀行 PRESTIA

りそな銀行

サービス内容

• 非居住者用の円預金のサービスに契約することで、円預金口座からの国内振込みが可能

制限事項

• 取引支店以外での預け入れ、引き出しは不可
• キャッシュカードは利用できません
• 公共料金などの自動振り替えはできません
• インターネットバンキングは利用できません

利用条件

りそな銀行の非居住者円預金口座は、新規での申し込みとなります。

りそな銀行 非居住者円預金

非居住者の送金手数料は高額

海外転出後に、必要に迫られるのは日本国内の他人口座への振込と海外への自分宛ての送金です。

しかし、非居住者になると振り込みや送金は海外からの送金とみなされ、手数料はいままでよりも高額になります。

日本国内の銀行への振込は、各行とも400円～800円と、手数料は若干の割高で済みますが、海外の銀行で開設した自分の口座への送金は高額な手数料が発生します。

海外送金手数料の項目

• 為替手数料 : 1通貨あたり50銭～3円
• 銀行の送金手数料 : 3,000円～4,000円
• 受取銀行および中継銀行の手数料 : それぞれ約2,500円
• リフティングチャージ : 約2,500円

※外貨預金口座から同一外貨で送金かる場合にかかる手数

例えば、海外の銀行口座へ、日本の非居住者用口座の外貨を送金する場合、約8,500円ほどの手数料がかかります。

非居住者になると、振り込みや海外送金の手数料が、いままでよりも割高になるので、頻繁な振込や送金はできるだけ避けてください。

【まとめ】非居住者口座と海外送金サービスの併用

非居住者向けのサービスを提供している銀行でも、非居住者になると、振込先が限定されたり手数料が高額になるなどの規制がかかりますので、移住後も自分が利用するであろう銀行サービスを考え、海外移住をする前に手続きを済ませておいてください。

また、2021年以降は、マネーロンダリングや税金逃れを防止するため、非居住者の銀行利用はさらに厳しくなることが予想されます。

よって、海外に居住したあと、日本の銀行から自分宛てにお金を送金する手段として、銀行以外にも海外送金サービスへの登録をしておくことをおすすめします。

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2021年9月13日