フィリピン移住を考えている人は少なくありません。
外務省の発表によると、フィリピンに住んでいる邦人の数は1万6,894人(2018年10月時点)に達しています。
しかし、移住はしたものの、数年もたたないうちに日本へ帰国してしまう人もたくさんいます。
その理由は、フィリピン移住のメリットに気を取られてしまい、デメリットの方はあまり考えていなかったためです。
この記事では、フィリピンで移住生活をしている僕が、不便だと感じたことを解説しますので、海外移住を考えている方は参考にしてください。
移住してみなければわからない情報です。
フィリピン移住のデメリット
- インターネットの速度が遅い
- 慢性的な渋滞
- 日本のテレビが観られない
- 高額な日本食
- からだが蝕まれる危険性
- 日本の薬は買えない
- お風呂に入れない
インターネットの速度が遅い
フィリピンのインターネットスピードが遅いことは有名で、固定ブロードバントが19.51Mbps(世界101位)、モバイルは15.06Mbps(世界103位)。
日本の3分の2ほどのスピードしか出ません。
データ元:The ASEAN Post
フィリピンでは、日本のようにサクサクとネットにアクセスしたり、動画を視聴することは、まずできないと思ってください。
スピードが遅いだけではなく、途中で切れたり、数時間繋がらなくなることも頻繁に起きます。
フィリピンは2021年現在、3G、または3Gと4GのあいだのLTEが主流。
グローブ社やスマート社など、大手通信会社は5Gの普及に力を入れていますが、5Gが普及しても、当初はサービス料金がかなり高額になることも予測されます。
慢性的な渋滞
メトロマニラには鉄道が通っていますが、基本的にフィリピン人の足はバイクか自動車です。
ただでさえ車が多いのに、道路は整備されておらず、信号も少ない。
また、運転マナーも悪いので、朝と夕方の通勤ラッシュの時間帯を中心に、日常的に渋滞しています。
とくに、6月から11月の雨季は、道路が冠水して、1~2時間立往生を強いられることも珍しくはありません。
日本の免許を持っている人なら、比較的簡単にフィリピンの自動車免許を取得することができますが、イライラしがちな人は、運転手を雇うか、タクシーを利用した方が賢明です。
日本のテレビが観られない
日本では、テレビ番組を「NHKオンデマンド」や「TVer(ティーバ)」などのサービスを利用してネットで視聴できますが、著作権の問題で、フィリピンではネット視聴することができません。
同じ理由で、映画配信のNetflixやスポーツ配信のDAZNも観れません。
フィリピンから各サイトにアクセスすると、IPアドレスがフィリピンのもののため、「お住まいの地域では視聴できません」と表示されます。
この問題を解決する手段として、VNP「Virtual Private Network(バーチャル・プライベート・ネットワーク)」をつかい、IPアドレスを日本のアドレスに変えてしまう方法があります。
しかし、VNPで接続するとネットスピードが遅くなり、番組がスムーズに再生されないばかりか、最近では各社とも、海外からのVNP視聴の対策を強化しているようですので、近い将来、VNPでも完全にテレビ番組を見ることができなくなる可能性もあります。
YouTubeやニコニコ動画は、フィリピンのIPアドレスでも合法的に観ることができます。
高額な日本食
フィリピンは物価が安いから、経済的にラクと考えている人がいますが、それはローカルの人たちと同レベルの暮らしをした場合の話です。
移住したばかりのころは質素な暮らしをしていても、そのうち日本食が恋しくなります。
フィリピンにも日本食の居酒屋やラーメン屋はたくさんありますし、味もソコソコおいしいです。
でも、値段は日本の1.5倍くらい。
たとえばラーメンだと700円ほどします。
スーパーでは、日本の調味料やお菓子、即席めんなども売られていますが、値段は日本の倍です。
お金に余裕がある人でしたら問題ありませんが、フィリピンで日本の食事をしようとすると、日本よりも出費がかさむことは覚えておいてください。
からだが蝕まれる危険性
WHOが発表した2021年版の世界保健統計(World Health Statistics)によると、日本人の平均寿命は男性が81.5歳で世界2位。女性は86.9歳で世界一の長寿です。
(2019年時点)
一方、フィリピンは、男性が67.4歳(世界124位)、女性が73.6歳(世界113位)。
この平均寿命の違いの理由は定かではありませんが、排気ガスや埃による大気汚染、不衛生な食品、蔓延する感染症などが一因となっていることは間違えないと思います。
実際、フィリピンに移住すると、街の汚さや不衛生さに驚きます。
もちろん、フィリピンに移住したからと言って、すぐに寿命が縮まるとは思えませんが、知らず知らずのうちに、体が蝕まれていく可能性はあります。
日本の薬は買えない
ある程度の年齢になれば、持病をかかえたり、常備薬が欠かせない人も増えて来るでしょう。
でも、フィリピンでは日本の薬は認められていませんので、薬局などでは日本の医薬品は取り扱っていません。
医師の処方が必要な医薬品は、ネットで購入することもできませんので、常備薬を買うためには一時帰国しなければなりませんが、保険を適用して購入する場合、薬は最大一か月分しか処方されません。
また、病院の治療費も高額で、風邪で通院するだけでも1万円かかる病院もあります。
深刻な持病を持っている方や、定期的に治療をうける必要のある方は、フィリピンと日本を行ったり来たりの生活になるでしょう。
お風呂に入れない
フィリピンにはお風呂に入る文化がありませんので、住宅やコンドミニアムにバスタブが設置されている物件は、よほどの高級物件に限られます。
フィリピンに移住してからお風呂に入りたいと思ったら、銭湯やスパを利用することになりますが、マニラやセブなどの都市部でも、銭湯やスパの数は少なく、また、あったとしても高額です。
バスタブ付きの部屋があるホテルに宿泊すればお風呂に入れますが、湯船につかるために一泊数千円ものお金を毎回払う訳にもいきません。
自分の家でお風呂に入りたい人は、家のバスルームを改築してバスタブを設置する方法があります。
バスタブ自体は2~3万円で買えますが、水道管工事が数十万円します。
フィリピンに移住したら、基本的に毎日シャワーになります。