フィリピンのインターネット環境と通信会社の選び方 2021年版

現地生活

フィリピンのインターネット環境と、ネットサービスを提供している通信会社の選び方について、実際に毎日フィリピンでネットを利用している僕が解説します。

移住やロングスティを考えている方のための家庭用サービス、そして旅行など短期滞在でつかえるモバイルサービスについて、インターネットの知識があまりない方にも理解してもらえるよう説明しますので参考にしてください。

フィリピンのインターネットの種類

フィリピンのインターネット回線は、家庭用の「光回線」「ケーブル回線」「DSL」。そして、家庭と屋外で兼用できる「モバイル回線」があります。

家庭用のインターネットは固定回線と呼ばれ、有線、無線(WiFi)の両方のタイプがあります。

回線の特徴

光回線とは、光ファイバーケーブルを用いてデータを送信する方式で、この中では速度がいちばん早いですが、料金は他と比較して割高になります。

ケーブル回線は、ケーブルテレビが利用しているインターネット回線のことで、速度の安定性がありますが、契約はケーブルテレビとセットになります。

DSLとはアナログの電話回線を利用したもっとも遅い回線で、日本では2000年ごろにサービスが終了しています。

モバイル回線は、ポケットWiFiと呼ばれるコンパクトなルーターを用いた回線です。利用する場所によってはスピードの安定性に欠けます。

  • 家庭でインターネットを利用するなら光回線。ケーブルテレビも観る人ならケーブル回線
  • 外出先でつかうならモバイル回線

フィリピンの回線事業者

回線事業者とは、インターネット回線の設置や管理をする会社のことで、日本でいえばNTT東西、KDDI、JCOMなどが回線事業者にあたります。

フィリピンの回線事業者は、家庭用の固定回線を提供している会社と、モバイルに特化した会社に分かれます。

固定回線を提供している主な通信会社は、最大手のPLDTをはじめ、Globe、そしてケーブルデレビの回線をつかうSkycableの3社。

PLDT、Globeは固定電話の利用料が、Skyケーブの場合はケーブルテレビの視聴料がセットになっています。

一方、モバイル回線は、PLDTの子会社であるSmart、そしてGlobe、SUNの3社がサービスを提供しています。

  • インターネットを家庭で利用する場合と屋外で利用する場合では、契約する回線事業者が異なる
  • 家庭用の回線でも室内でWiFiは利用できる

フィリピンでインターネットを利用する

インターネットの選び方や料金を、家庭用回線とモバイル回線に分けて説明します。

家庭用インターネット

固定回線

自宅に回線を敷く固定回線は、移住や中長期の滞在者向けです。

賃貸のコンドミニアムやアパートの場合、固定回線は自分で契約するか、またはオーナーに依頼します。

僕の場合、コンドミニアムを借りていた時は、オーナーからインターネットの契約の名義を自分にするか、オーナー名で契約するかを問われ、オーナー名でお願いしたところ、契約をすべて行ってくれました。

その後、一軒家に引っ越した際は、自身で通信会社に出向き、契約を行いました。

フィリピンには、すでにインターネットが設置されている賃貸物件も稀にありますが、共用利用のため速度が極端に遅いので、短期滞在者は良いとしても、中長期の場合は自身で契約することをおすすめします。


回線事業者を選ぶときに注意してもらいたいのは、あなたの住まいの近くに事業者のアンテナや中継所があるかどうか。

会社によってはカバーしていない地域や、電波が弱い場所があるので、住まいに固定回線を敷く際は、予め事業者の店舗でスタッフに確認するか、周辺の住民がどこの事業者を利用しているかを確認してから契約してください。

固定回線のモデム
料金

固定回線事業者3社の、速度ごとの料金です。

僕はPLDTの25Mbpsのプランに加入していますが、YouTubeなどの視聴には特に問題ありません。

ただし、一時的に速度が落ちる時間帯があります。

PLDT

回線速度月額データ容量
10Mbps1,299ペソ無制限
25Mbps1,699ペソ無制限
50Mbps2,399ペソ無制限
100Mbps2,999ペソ無制限
PLDT 2021.1.1現在

Globe

回線速度月額データ容量
10Mbps1,299ペソ500GB
20Mbps1,699ペソ無制限
30Mbps1,899ペソ無制限
50Mbps2,499ペソ無制限
100Mbps2,899ペソ無制限
Globe 2021.1.1現在

Skycable

回線速度月額データ容量
10Mbps999ペソ無制限
25Mbps1,499ペソ無制限
50Mbps1,999ペソ無制限
75Mbps2,499ペソ無制限
100Mbps2,899ペソ無制限
150Mbps3,499ペソ無制限
Skycable 2021.1.1現在
支払い方法

利用料金の支払いは、毎月20日前後に一か月分の請求書がメールまたは郵送で送られてきますので、下記の3つの支払い方法から選んで支払います。

・携帯ショップや事業者の営業所、また、モールのカウンターなど実店舗で現金支払い

・GCashなど、ネット上で電子マネーを利用して支払い

・事業者のホームページから、クレジットカードで支払い

プリペイドWiFi(HOME WiFi)

家庭用と言う部分では固定回線と同じですが、プリペイドWiFiは契約や工事が不要で、モデムを購入すればスグにインターネットが利用できます。

モデムとはインターネットとパソコンをつなぐ装置です。

プリペイドWiFiのモデムの価格は4,000円前後。

モデムは充電ができないので、コンセントのない場所に持ち運んでの利用はできません。

僕は固定回線のバックアップ用としてプリペイド式のモデムを購入しています。

フィリピンでは工事や悪天候のため、インターネット回線が予告なしに切れることが珍しくありません。

そんな時、固定回線の通信会社とは異なる、別の会社のプリペイド式WiFiのモデムを持っていれば、応急の対応として利用できます。

プリペイドWiFiのモデム
料金

プリペイドWiFiは、回線の速度と利用できる日数によって、料金のコースが分かれています。

PLDT
データ容量利用期間費用
28GB7日間199ペソ
60GB15日間599ペソ
120GB30日間999ペソ
180GB30日間1,499ペソ
PLDT 2021.1.1現在
Globe
データ容量利用期間費用
34GB7日間199ペソ
75GB15日間599ペソ
140GB30日間999ペソ
200GB30日間1,99ペソ
Globe 2021.1.1現在
設定と支払い

プリペイドWiFiは申し込みや工事の必要がないメリットがある反面、設定や支払いは、回線事業者のウェブサイトから、自分で行う必要があります。


モデムの購入時に、最低限の通信費が付いているので、回線事業者のサイトにアクセスして、利用するコースや支払い方法を設定します。

  • 移住やロングスティの場合は、回線事業者と契約して住まいに固定回線を敷く
  • 固定回線とは別に、プリペイド式のWiFiモデムを持っていれば、いざという時に安心

モバイル用インターネット

インターネットを屋外で利用することの多い人、また、観光や留学でフィリピンに短期で滞在する人は、スマホで接続できるモバイルWiFiがおすすめです。

ポケットWiFi

通信料を事前に払うプリペイド式のポットWiFiは、本体とSIMカード、そしてプリペイドカードを入手すればすぐ使えるのが魅力です。

本体やカードは携帯ショップやショッピングモールで手軽に購入できます。

ポケットWiFiの価格は、プリペイドカードとセットで2,000円~4,000円。価格はデータ容量(ギガバイト)によって異なります。

ポケットWiFiは5~10台のデバイスにつなげますので、自宅のパソコンとスマホ、両方で利用できます。

料金プラン

利用できる期間が1日から30日間、またデータ容量が1GBから30GBまで、幅広い料金プランがあります。

ポケットWiFi

スマホ用プリペイドSIM

SIMフリーのスマホを持っている方でしたら、フィリピンのSIMカードに差し替えるだけでインターネットにつながります。

SIMの値段は100円ほど。プリペイドカードは210円(100ペソ)、640円(300ペソ)、1,000円(500ペソ)など種類があります。

いくらのプリペイドカードを選ぶかは難しいところですが、最初は少なめのカードを購入しておき、残量が少なくなったら追加で購入することもできます。

残量の確認は、スマホから回線事業者が指定する番号にテキスト(携帯メール)を送信することで確認できます。

また、2,000円程度の使い放題のプランもあります。

SIMの差し替えや、通話料金のチャージ(ロード)方法は、ショップの店員さんに頼めばやってくれます。

ひとつ注意したいのは、普通のプリペイドSIMでは通話ができず、利用はパケット通信に限られます。

インターネットへの接続やメール、LINEなどの利用でしたら問題ありませんが、通話もする場合は、通話用のSIMカードが必要になります。

商業施設の無料WiFi

ショッピングモールやカフェなど、無料WiFiスポットでは、お持ちのスマホやパソコンをWiFiにつなぐことができます。

正確な調査ではありませんが、フィリピンの市街地にあるカフェの7割以上は、無料でWiFiがつかえると思います。

設定は、お店からパスワードをもらい、それを入力するだけ。

カフェの無料WiFiをつかって、店内でYouTubeやフェイスブックを楽しんでいるフィリピン人もたくさんいます。

ひとつ注意しておきたいことは、フリーWiFiは通信が暗号化されていないので、悪意のある第三者がのぞき見やデータを盗み取れること。

ですので、公衆のWiFiを利用する際は、パスワードなど大事な情報は扱わない方が賢明です。

フィリピンのネットスピード

さいごに残念なお知らせがあります。

フィリピンのインターネットはとても遅いので、日本のネット環境とは違うと言うことを頭に入れておいてください。

インターネットの通信速度はbps(Bit per second)という単位で表します。

bpsとは1秒間にどれだけのデータを送信できるかをあらわす数字で、この数値が大きいほどネットのスピードが速いことになります。

世界のインターネットスピード

モバイル回線

順位スピード
1位アラブ首長国連邦170.30Mbps
2位韓国166.70Mbps
3位カタール166.70Mbps
37位日本47.09Mbps
110位フィリピン18.49Mbps
Speedtest Global Index 2020年11月調査結果

固定回線(ブロードバンド)

順位スピード
1位シンガポール241.10Mbps
2位香港222.92Mbps
3位タイ213.14Mbps
21位日本148.01Mbps
103位フィリピン28.69Mbps

フィリピンのモバイル回線の速度は日本の約4割。

固定回線は2割のスピードしか出ていません。

この速度でも、動画を視聴することはできますが、時間や場所によってスピードが不安定になったり途切れたりすることがあります。

また、公衆のWiFiは利用者が多いほどスピードが遅くなります。

できるだけ安定的で速いスピードを希望の方は、データ通信容量の大きいプランに加入したり、容量の大きなSIMカードを購入してください。