マイナンバー制度の経過措置が終わり、2022年から海外移住者の銀行口座の維持がさらに厳しくなります。
海外移住をする際には、銀行のルールに従って非居住者の手続きをしておかないと、口座の解約、またはおおきな損失をすることにもなりかねません。
この記事では、フィリピンに移住しながら、日本の銀行口座を利用している僕が、非居住者でも利用できる銀行サービスと、移住前にしておくべき対処について解説します。
海外移住しても銀行口座の維持は可能
海外移住後も、支払や振込は行わなければならないので、日本の銀行口座は残しておきたい、と考えている人が多数だと思います。
海外へ移住しても、住民票を日本に残しておけば、今まで通りの銀行取引ができますが、住民票を抜いて非居住者となると、銀行によっては口座を維持することが認められなかったり、口座を維持できたとしても、一部のサービスが利用できなくなる場合があります。
その理由は、日本の銀行は、日本国内に住んでいる人を対象としたサービスだからです。
しかし、非居住者の届をすることによって、海外移住後も口座を解約することなく維持することが可能な銀行もあります。
- 口座を解約しなければならないおもな銀行
ゆうちょ銀行
楽天銀行
ジャパンネット銀行
新生銀行
セブン銀行
SBIネット銀行
ネット銀行の場合、非居住者になると、口座を維持することができません。
- 非居住者でも口座が維持できる銀行
三菱UFJ銀行
三井住友銀行
SMBC信託銀行
みずほ銀行
りそな銀行
ソニー銀行
メガバンクと呼ばれる銀行は、日本を出国する前に非居住者の申請をしておくことで、海外からでも振込や残高照会、海外送金などのサービスが使えるようになります。
但し、マネーロンダリング対策法の規定によって、振込先を事前に登録しなければならなかったり、日本国内に代理人をたてなければならないなどのデメリットもあります。
ネット銀行に口座を持っている人は、海外移住前に非居住者向けのサービスがある銀行に口座をつくり、そこへ資産を移動させておきましょう。
メガバンクなど、非居住者向けの口座がある銀行は、移住する前に、届け出を忘れないでください。
僕の場合は、移住前に自分の海外口座をはじめ、頻繁に振込の可能性がある口座を事前に登録しておきました。
非居住者向け口座からの引き落とし
銀行へ非居住者の届をすることによって、銀行サービスは制限されますが、非居住者になってもひきつづき、ローンやクレジットカード、公共料金などの引き落としはされます。
非居住者向けの口座でも、口座番号が変更になるわけではありません。
ですので、非居住者向けの口座になっても、自動引き落としが設定されているクレジットカード会社などへの連絡は不要です。
僕の場合も、クレジット会社や保険会社へ連絡はしていませんが、毎月、支払が行われています。
口座維持にはマイナンバーが不可欠
マイナンバーをすでに持っている人が非居住者となる場合は、帰国後に、同じマイナンバーを引き続き利用することができます。
しかし、マイナンバーは、住民票コードを基に作成されるため、住民票がない非居住者には発行されません。
ここで問題となるのが、マイナンバーを持っていない、または持っているけど、銀行へ登録していない人の場合です。
2016年(平成28年)に導入されたマイナンバー制度は、6年間の経過措置が2021年(令和3)12月末に終了します。
そのため、2022年からは、銀行へマイナンバーの登録を行っていない人は、基本的に口座が利用できなくなります。
マイナンバー制度ができる前に非居住者となり、マイナンバーが付与されていない人は、口座を維持することはできますが、海外居住者とみなされますので、国内間の振込みでも、海外送金と同額の手数料を取られる場合があります。
銀行からの郵送物が返送されたらアウト
銀行に届け出をせずに、住民票を抜いて海外に転出すると、口座を維持することはできなくなります。
最近はメールが多くなったとはいえ、銀行は定期的に口座名義人へ郵送物を送付しています。
これは、居住確認の意味があるからです。
銀行に登録している住所に、すでに本人が住んでいない場合、郵送物は差出人である銀行へ返送されるので、登録している住所が変わったことがバレます。
海外移住をする場合は、国内の代理人か、自身の海外の住所を銀行へ届けておきましょう。
僕は移住先のフィリピンの住所を銀行に届けていたのですが、その住所に銀行から郵便物が送られてきました。
海外移住すると資産運用はできない
日本の証券会社や銀行の取引業務は、日本国内に限られるため、非居住者になると、株式や債券の運用ができなくなります。
たとえばNISAは、日本国内に居住している個人向けの制度のため、海外移住前に廃止の手続きをする必要があります。
一般口座で投資信託などを取り引きしている人は、すでに保有している株や投資信託は継続して保有できますが、新規の購入と売却はできません。
つまり、非居住者になると、株や投資信託での資産運用ができないばかりか、不本意でも、損切しなくてはならない場合があります。
僕は移住する前、NISAで投資信託を運用していましたので、証券会社に相談しました。
その証券会社は「短期で帰国するならそのままにしておいても」などと曖昧なことを言っていましたが、後からペナルティなどを食らわないように、全額売却してから移住しました。
海外移住をすると、今まで当たり前のように利用していた銀行サービスが、制限をうけることになりますので、移住前にしっかりと準備や手続きをしておいてください。