直接雇用はダメ! フィリピン人が日本で就労するまでの流れ

渡航と移住

フィリピン人が日本で働くためには、就労ビザとフィリピン海外雇用庁が認定したエージェントの許可が必要です。

この記事では、フィリピン人の日本での就労状況と、就労ビザを取得するための手続きについて解説します。

外国人の日本での就労状況

日本における外国人就労者の状況と、フィリピン人が日本でどのような職業に就いているのかを、日本、フィリピン両政府が公的に発表しているデータで説明します。

日本で働いている外国人のうち、フィリピン人が占める割合は約1割。フィリピン人の主な職業は、歌手やダンサーです。

国別在留者の人数

法務省の発表によると、日本に在留している外国人のうち、いちばん多いのは中国人で全体の約3割。

フィリピン人は約1割を占めています。

在留者とは、入管法上の在留資格をもって日本に中長期間在留する外国人のことで、例えば、日本人と結婚している人、就労ビザで仕事をしている人、または留学生を指しています。

在留者数構成比
中国813,67527.7
韓国446,36715.2
ベトナム441,96814.0
フィリピン282,7989.6
ブラジル 211,6777.2
インドネシア66,8602.3
出典:法務省 令和元年末現在における在留外国人数について

フィリピン人の職業

フィリピンパブが全盛だった2000年ごろまでは、興行ビザで日本に入国するフィリピーナが多かったのですが、2005年以降、興行ビザの取得は難しくなりました。

海外居住フィリピン人委員会(CFO)が公表した2010年のデータでは、それでも日本で働いているフィリピン人の職業では、ダンサーや歌手が全体の8割以上を占めています。
その他、女性はメイドや子守、家事手伝い。

男性も芸能関係の仕事が多く、それに次ぐのが、建設や製造などの技能職になっています。

職業女性男性合計
ダンサー・振付師65843701
歌手・ミュージシャン31395408
家事手伝い36339
技術者52025
事務職51520
スポーツ選手01414
生産・輸送機器3710
料理人369
翻訳・通訳538
機械エンジニア167
建設エンジニア066
教師314
営業314
清掃404
俳優・演出家303
大学教授・高校教師303
管理123
農業・畜産・林業033
造船エンジニア033
プログラマー123
アーティスト022
工学技術022
専門技術202
システム分析者011
電気技師011
製図工011
会計士101
合計1,0502371,287
出典: 海外居住フィリピン人委員会 職業別 日本でのフィリピン人就労状況 (2010年新規就労者)

フィリピン人が海外で働く理由

フィリピンは世界最大の労働輸出国と言われ、海外で働いているフィリピン人からの送金が、国のGDPの1割を占めています。

1億人の国民が、十分な収入を得るための仕事が国内にないため、ある程度の能力を持っている人は海外に出稼ぎに行きます。

海外就労の目的は、フィリピンにいたのでは得られないような額の収入を得て、家族に送金すること。

20代の男性なら、海外で専門の技術を身につけ、キャリアアップを目指す人もいますが、海外就労の目的のほとんどはお金のため。

フィリピン国内で、正規に雇用されていたとしても、給料は2万円程度。

海外で働けば、その5倍から10倍の収入を得ることが可能です。

日本で就労できるビザの種類

フィリピン人が日本で働くために取得する就労ビザには、16種類の職種があります。

在留資格職業例
教授大学教授など
芸術作曲家、画家、作家など
宗教宗教団体から派遣される宣教師
報道報道機関の記者、カメラマン
経営・管理企業の経営者または管理者
法律・会計業務弁護士、公認会計士
医療医師、看護師
研究政府関係機関や企業の研究者
教育中高等学校の語学教師
技術・人文知識・国際業務機械工学の技術者、通訳、デザイナー
企業内転勤フィリピンの事務所からの転勤者
介護介護福祉士
興行俳優、歌手、プロスポーツ選手
技能調理師、スポーツ指導員
特定技術技能実習生
技術実習技能実習生

観光ビザや留学ビザで入国しているフィリピン人は、就労が認められません。

但し、留学ビザでアルバイトをすることは可能です。

日本で働くまでの手続き

国内に仕事が少なく、就職先を探すことが容易でないフィリピンでは、海外での就労を希望する人がたくさんいて、国も、国策として海外就労を後押ししています。

しかし、海外で、虐待や搾取などの被害に遭うフィリピン人も多いため、受け入れ国および企業に対して、他国ではみられないような厳しい条件を設定しています。

海外労働局の許可と就労ビザの取得

日本の企業は、フィリピン人を直接雇用することはできません。

海外で働くフィリピン人の過酷な労働環境が社会問題になっているため、雇用主は、フィリピン海外労働局(POEA)が認定したエージェントへの申請、および面談を受ける必要があります。

就労ビザの申請は、POEAからの許可を得ることが前提となります。

関係所管

POEA (Philippine Overseas Employment Administration)

フィリピン海外雇用庁のことで、海外で働くフィリピン人の雇用環境を守っています。

住所:EDSA corner Ortigas Avenue Mandaluyong City, Philippines

POLO (Philippine Overseas Labor Office)

POEAの海外出張機関。フィリピン人を受け入れる企業の審査を行っています。

住所:東京都港区六本木5-15-1 在日フィリピン大使館内

申請から就労までのステップ

申請の準備から就労までの、ザックリとした流れは以下の通りです。

  1. 就労者と雇用主が、POEAが認定した現地エージェントと契約
  2. フィリピンのエージェントと日本の受け入れ先企業で書類を準備
  3. 日本にあるPOLOに書類を提出
  4. POLOで雇用主が面接を受ける
  5. POLOから承認証書の受領
  6. 入国管理局に、在留資格認定証明書の交付を申請
  7. 交付された在留資格認定証明書を、就労予定者のフィリピン人に送付
  8. 就労者が在フィリピン日本大使館または総領事館で審査を受ける
  9. POLOから就労者に書類を送付
  10. 就労者がPOEAに書類を提出し、就労許可書を受け取る

フィリピン海外雇用庁への申請

フィリピン人を雇用する際は、フィリピン海外雇用庁(POEA)認定の現地エージェントを通さなくてはいけない決まりになっています。
POEA認定の海外エージェントと契約を結んだ後、日本にあるPOLOへ、審査を受けるための書類を提出します。

書類審査の後、POLOと受け入れ先の代表者との間で面接を行い、合格すればPOLOからの承認証書がもらえます。

その後、就労ビザ申請(在留資格認定証明書の申請)を行います。

POLOの面接官はフィリピン人で、面接は英語で行われますので、通訳を同席させることも認められています。

就労ビザの取得

日本にいる雇用先が、在留資格認定証明書、POLOの承認証書、その他必要書類を、フィリピン在住の就労予定者へ送付します。

就労予定者は、在フィリピン日本大使館、領事館に、それらの書類を持参した上で審査を受け、問題なければ就労ビザが発給されます。

ビザ取得後、就労者はPOEAに就労許可の申請を行います。

フィリピン人を招へいする際の注意

フィリピン人が日本で働くためには、複雑で時間のかかるステップを踏まなければなりません。

ですので、フィリピン人の就労ビザ取得をサポートしている日本の企業に依頼するのもひとつの方法です。

その場合は、サポートを行っている企業または事務所が、行政書士や労働者派遣事業許可などの免許を持っているかどうかを確認してください。


また、フィリピン政府から公認されたエージェント以外にも、フィリピン人の日本への派遣には、日本とフィリピンをつなぐ仲介業者や、日本行きを希望するフィリピン人を探す人。

また、渡航前にフィリピンで日本語や日本の文化を教える業者など、多くのエージェントや個人がかかわっています。


日本の雇用主が、これらの仕事をしている人たちと直接やり取りをすることはほとんどないと思いますが、賃金の搾取や不法就労の斡旋など、不正な行為をしている人にはかかわらないよう注意してください。

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