フィリピン人を日本へ招へいするために必要なビザの申請手続きについて解説しますので、フィリピンにいる知人や恋人を日本に招待する際の参考にしてください。
実は、フィリピン人が日本へ渡航する場合、日本の入国よりも、フィリピンでの出国審査の方がハードルが高く、ビザを持っていても出国できないケースが多発しています。
日本への入国を許可するのは、在フィリピン日本大使館。
フィリピンからの出国を許可するのは、フィリピンのイミグレーションです。
よって、ビザを取得しても、出国できないケースがあります。
目次
ビザ(査証)の申請
ビザとは在フィリピン日本大使館が発行する、日本の入国許可証です。
大使館が、日本に入国しても問題ない人物かどうかを審査し、問題がなければ発行されます。
ここでは、ビザの種類と、申請に必要な書類について説明します。
短期滞在ビザの種類
日本での滞在が90日以内で、観光旅行、親族訪問、商用目的で発給されるビザは主に3種類です。
・観光または知人訪問を目的とした短期滞在査証
申請人が自身で計画した旅行、または知人、三親等を越える親族を訪問する場合。
・親族訪問を目的とした短期滞在査証
申請人が日本在住の親族(三親等以内)を訪問する場合。
・商用を目的とした短期滞在査証
会議への出席や文化交流、また宣伝や調査活動を目的に来日する場合。
(収入を伴う事業の運営、および日本で報酬を得ることは不可)
申請人(渡航者)が用意するもの
- パスポート
- ビザ申請書
- 出生証明書
- 婚姻証明書(既婚者の場合)
申請人自身が旅行費用を負担する場合は、上記に加えて、預金残高証明書、納税証明書が必要です。
また、フィリピン在住の身元保証人が旅行費を負担する場合は、身元保証書、申請人と身元保証人の関係を証明する資料、保証人の預金残高証明書、およびフィリピンでの納税証明書が必要になります。
その他
・知人訪問の場合は、知人関係を証明する資料、招へい理由書、知人の住民票
・親族訪問の場合は、親族の戸籍謄本および住民票(在日親族の配偶者等の家族が日本人の場合)
・商用訪問の場合は、在職証明書および所属先からの主張命令書など
日本側の招へい人が準備するもの
- 招へい理由書
- 申請人と招へい人の関係を証明する書類
- 招へい人の住民票
商用目的の場合は、上記に加えて在留活動を明らかにする契約書や会議資料。および法人登記簿謄本または団体概要説明書が必要になります。
これらの書類が用意出来たら、フィリピンにいるビザ申請人(日本に入国するフィリピン人)に送付します。
申請書類は外務省のホームページからダウンロードできます。
問い合わせ先
領事サービスセンター(査証相談班)
東京都千代田区霞が関2-2-1 外務省
電話 03-5501-8431
代理機関を通して日本大使館へ申請
すべての書類が用意できたら、在フィリピン日本大使館、総領事館が指定している代理申請機関でビザの申請を行います。
代理申請期間では、必要書類に不備がないかなどを確認し、問題がなければ在フィリピン日本大使館に申請します。
申請手数料は1,000~2,000PHP(約2,200円~4,400円)
在フィリピン日本大使館での審査には10日間ほど要します。
また、その間に追加書類の提出や面談を求められる場合もあります。
ビザ申請の可否は大使館から代理申請機関へ連絡が行きます。
もし、不可となった場合でも、その理由の説明はされません。
また、認められなかった場合は、その後6か月間、再申請することができません。
在フィリピン日本国大使館
日本語案内 +63 (2)8834-7508
在ダバオ日本国総領事館
+63 (82)221-3100/3200
在セブ領事事務所
+63 (32)231-7321/7322
メールでの問い合わせ ryoji@ma.mofa.go.jp
イミグレでの出国審査が難関
無事にビザを取得し、航空券も購入した。
でも、これで100%日本へ行けることが確定したわけではありません。
出発日当日、空港のイミグレでの出国審査にパスしなければ、飛行機に乗ることはできません。
ビザがあっても出国できない
イミグレとは出入国管理のこと。
航空会社のカウンターでチェックインした後に通るカウンターです。
イミグレではパスポートやビザなど必要書類の確認、およびフィリピン人の出国の場合は、その理由などを詳しく聞かれます。
フィリピンでは、統一したルールがあってないようなものなので、イミグレの審査官から、国外逃亡や海外での不正就労などを怪しまれたら、たとえ在フィリピン日本大使館から正式に発行されたビザを持っていても出国できません。
つまり、ビザは日本への入国は認めても、出国を保証するものではないのです。
これは私見になりますが、イミグレの審査官は、出国者が信頼できる人物か、また受け入れ先がしっかりしているかどうかをチェックしているようです。
公務員、教師、医師、弁護士など、社会的に認められている身分を持った人はすんなり審査をパスしても、一般の人はいろいろと質問される可能性が高いです。
出国を拒否されたケース
僕が知っている拒否された事例を紹介します。
ケース1
シンガポールに住んでいる友人のところへ渡航する予定だった30歳代のフィリピーナ。
知人宅訪問目的のビザを持っていましたが、商用目的での渡航を怪しまれ、イミグレで銀行の預金残高と受け入れ先の詳細な情報を要求されました。
しかし、その女性はイミグレが納得する説明をすることができなかったため、出国を拒否されました。
ケース2
日本に商用目的(文化交流)で行く予定だった女性と未成年の子ども。
ビザはもちろん、受け入れ先の証明書など、必要書類に不備はありませんでしたが、イミグレから渡航目的を聞かれた時、子どもが詳細に説明できずアウト。
女性の方は審査をパスしていたのですが、その後戻され、出国許可を取り消されました。
イミグレで拒否されるとどうなるか
僕は空港のイミグレで、出国が許可されなかったフィリピン人を何回も見かけたことがあります。
ブースの審査官に怪しまれると、ブース横の個室、またはデスクに連れていかれ、再度の審査。
そこでも出国が許可されない場合は、そのまま空港の外に出されます。
よほどのことがない限り逮捕はされませんが、イミグレの監視リストに名前が掲載されてしまい、数年間は出国は難しくなる場合があります。
まとめ
- ビザの申請には、渡航者本人と受け入れ側の双方で準備する書類がある
- 申請は在フィリピン日本大使館が指定する査証代理申請機関で行う
- 日本への入国の可否を決定するのは日本大使館。フィリピンからの出国はフィリピンのイミグレが決める
- エージェントは必要書類の確認と申請手続きが仕事。出国できるかどうかは申請人次第。
- イミグレでの審査は、質疑応答で怪しまれないことが大事。
- イミグレで出国を拒否されると、その後数年間、海外への出国は難しくなる