フィリピン移住やロングスティを考えている方へ、フィリピンの特別永住権が付与されるリタイアメントビザ(SRRV)について、そのメリットと個人で取得する場合の手続きの流れを説明します。
リタイアメンドビザは、フィリピンに長期滞在や永住する場合に、もっともメリットの高いビザです。
永住だけではなく、日本とフィリピンを何度も行き来して暮らす方にも、この特別永住権は価値があります。
僕もリタイアメントビザを取得し、フィリピンに移住しました。
僕の経験では、個人でリタイアメントビザを取得する場合、実は日本国内での手続きがたいへんで約2か月を要しました。
フィリピンに来てからの手続きは退職庁(PRA)の指示通りに行動すればスムーズ。
フィリピン退職庁のスタッフのみなさんは、とても親切に対応してくれます。
目次
長期滞在者のためのビザの種類
フィリピンへ入国する際にはビザが必要です。
但し観光目的の入国であれば、ビザを取得しなくても30日間滞在できます。
これを短期間無査証(ノービザ滞在)と呼びます。
30日を超える場合は、目的に応じたビザの取得が義務付けられています。
フィリピンのビザは、特定の目的を達成するために特定の期間、フィリピンに滞在する観光客、ビジネスマン、学生向けの非移民ビザ。
フィリピン国籍の人と血縁関係や家族関係にある人が取得する移民ビザ。
そして、退職者や投資家向けの特別ビザの3つのカテゴリーにわかれています。
この中で、移住やロングスティを目的とした方に適したビザを紹介します。
リタイアメントビザ「特別居住退職者ビザ(SRRV)」
リタイアメントビザは、フィリピン退職庁(PRA)が発行する特別永住権のビザで、正式名称は、特別居住退職者ビザ(SRRV)と言います。
35歳から取得可能で、無制限でフィリピンに滞在できるリタイアメントビザは、退職者だけでなく現役の方にも人気のビザです。
一定の条件を満たしていれば、厳しい審査などはなく、ほぼ取得できます。
SRRVのメリット
- 永住権が取得できる
- 就労が可能(要 就労許可書)
- 配偶者と21才未満の子ども1名を同伴できる
- 日本から7千ドル相当までの身の回り品を免税で持ち込める
- 入管による出入国許可、および年次報告が不要
- 語学学校や大学などで学習する場合、就学ビザの免除
SRRVの種類と預託金
・SRRVクラシック
預託金を投資やコンドミニアムの購入に転用できる。
預託金
35~49才 5万ドル
50才以上(年金なし) 2万ドル
50才以上(年金受給者) 1万ドル
・SRRVスマイル
預託金は投資などに転用できない。
預託金
一律 2万ドル
・SRRVヒューマン・タッチ
介護・療養が必要な対象者向け
預託金
一律 1万ドル
投資やコンドミニアムなど物件購入の予定がない方は、スマイルで十分だと思います。
共通
・申請料は1,400ドル(申請時に退職庁へ支払い)
・年会費 360ドル(毎年退職庁へ支払い)
・預託金は自由に引き出してつかうことはできない
・預託金は、リアイアメントビザを返納した際に全額戻って来る
取得条件
- 35才以上
- 健康であること(健康診断書の提出)
- 犯罪歴のない人(無犯罪証明書の提出義務有り)
クォータービザ
特別永住権を取得する方法として、SRRVとならびクォータービザがあります。
フィリピン移民局から、日本、アメリカ、そしてドイツ国籍の人に限り、各国毎年50名分が割り当てられるビザです。
20歳以上で取得可能で預託金も不要のため、SRRVと比較されますが、取得の難易度が高く敬遠されているのが現実です。
- 預託金は不要。但しフィリピンの銀行に5万ドル以上の預金があること
- 年会費なし
申請手続きが煩雑なため、個人での申請はほぼムリ。
エージェントに依頼した場合の手数料は数百万円かかると聞きます。
申請しても、取得できるかどうかは不明ですので、あまりおすすめしません。
観光ビザ
観光ビザを延長してフィリピンに滞在する方法もあります。
観光ビザは最長3年まで延長が可能です。
延長費用は月3~4千ペソ。
フィリピン国内にあるイミグレーションで申請すれば、その日中に延長手続きが完了します。
観光ビザを延長して滞在する場合は、併せて下記の申請も必要になります。
- 60日以上滞在する場合 外国人登録証(ACR-Iカード)
- 6か月以上の場合 出国許可証(ECC)
※SRRV取得者はこれらの申請は不要です。
リタイアメントビザの申請方法
ここからは、リタイアメントビザを個人で取得する流れを説明します。
日本でやること
無犯罪証明書(犯罪履歴証明書または渡航証明書ともいう)を取得してください。
無犯罪証明書はフィリピンに来てから領事館を通しても申請できますが、日本にいる間に取得して、フィリピンに持参した方が早いです。
在日フィリピン大使館で発給依頼書(大使館から警察または自分個人へ犯罪履歴証明書を要求しているレター)をもらう
↓
管轄の警視庁または府警、県警で申請する
必要なもの
・パスポート
・住民登録地が確認できるもの(住民票、マイナンバーカード、免許証など)
・フィリピン大使館からの発給依頼書
受取は約2週間後です。
↓
警視庁から発行された無犯罪証明書を外務省へ持参し、その書類が正式なものであることを証明してもらう。
↓
外務省で証明を受けた無犯罪証明書を在日フィリピン大使館に持参し、領事の承認をもらう
フィリピン大使館、警察、外務省へ、それぞれ2回出向く必要があり、6~8週間かかりますが、無犯罪証明書を取得さえしておけば、フィリピンでの手続きがスムーズです。
また、事前にフィリピン退職庁から預託金の振込先口座の情報を聞いていれば、日本滞在中に振り込むことも可能です。
フィリピンでやること
リタイアメントビザの取得は、個人で行う方法と代行業者に依頼する方法のふたつがありますが、手続きの流れはどちらも同じです。
居住地の近くにある退職庁(PRA)のオフィスへ行き、説明を聞く
預託金の振込先口座を聞く
預託金の振り込み
現地の病院で健康診断(採血・採尿・検便・血圧・脈拍・レントゲン・心電図)
再び退職庁へ行き、下記の必要書類を提出
- SRRV申請書
- パスポート
- 健康診断書
- 無犯罪証明書
- 証明写真(2×2)12枚
- 預託金の振り込み証明書
これで手続きは完了です。
発行まではマニラで2~3週間、セブですと4~6週間です。
注意したいのは、パスポートを預けているので、申請中は海外(日本)にでれません。
日にちに余裕を持って手続きしてください。
代理業者に委託する方法
旅行会社など、移民局が公認しているマーケターでは、手続きの代行をしています。
主な業務は銀行や病院への同行、退職庁での通訳ですので丸投げはできませんが、英語に不安のある方は依頼すると良いでしょう。
費用は3,000ペソ(約6,500円)ぐらいです。
まとめ
日本から近く気候も温暖なフィリピンは、ロングスティや移住先として日本人から人気があります。
35歳から特別永住権が取得できると言うのも魅力のひとつ。
申請から取得までは、日本とフィリピンを合わせて3か月ほどかかりましたが、手続きは思ったほど難しくありませんでした。
但し、フィリピンは法律やルールが頻繁に変更になる国ですので、取得する際にはフィリピン退職庁(PRA)のホームページで改めて確認してください。