日本の外務省が発表した、2019年(令和元年)版海外在留邦人数調査統計によると、フィリピンの在留邦人数は、2018年10月1日時点で1万6,894人でした。
この記事では、なぜ在留邦人は日本へ帰らずにフィリピンで暮らしているのか。
そして、フィリピンに移住している日本人の、それぞれの事情について解説します。
目次
在留邦人とは
外務省が発表する在留邦人は、長期滞在者と永住者のことを指しています。
長期滞在者とは三か月以上、フィリピンに滞在している日本人。
永住者とは、フィリピン国より永住権を取得し、 生活の本拠を日本からフィリピンに移した邦人のことをいいます。
つまり、ロングステイや留学などでフィリピンを訪れている日本人は長期滞在者。
移住をしてフィリピンで働いている人や、リタイアして生活している人は永住者に含まれます。
フィリピンの在留邦人のうち、約7割が長期滞在者。
約3割が永住者です。
しかし、在留邦人のデータは、フィリピンで暮らしている日本人が、在フィリピン日本大使館や領事館に届け出た集計です。
よって、実際には、外務省が発表している在留邦人数に加え、届け出をせずフィリピンで暮らしている日本人も数多くいると思われます。
フィリピンに永住している日本人の理由
フィリピンで1年以上暮らしている日本人は、フィリピンでなにをしているのでしょうか。
フィリピンで暮らしている日本人の9割は、下記の5つのパターンのいずれかに当てはまります。
海外赴任
マニラやセブなど、フィリピンの都市部で暮らしている日本人の約3割は、海外赴任者です。
フィリピンの支社や支店に赴任を命じられ、奥さんや子どもと共にフィリピンにやってきた日本人の家族。
海外赴任の任期はおよそ3~4年ですので、フィリピン永住者となります。
実は、この海外赴任の生活はリッチで、住宅は会社負担。
運転手付きの車を用意され、しかも給料は日本の賃金と同額が支払われるので、お金も貯まります。
奥さんは毎日、子どもと一緒に高額な日本食をたべにいったり、エステやマッサージ、そしてお買い物三昧。
フィリピンと聞いて、最初は嫌がってた奥さんも、帰国したくなくなるのが、海外赴任者の生活です。
フィリピンで働く日本人
フィリピンで働いている日本人には、日系企業に就職している人と、フリーランサーとして稼いでいる人がいます。
IT企業やコールセンター、語学学校など、フィリピンにはたくさんの日系企業があります。
日本人が働いている職場は、同僚も顧客も日本人なので、英語はほとんど不要。
語学留学でフィリピンに来たあと、そのままアルバイト感覚で日系企業に就職する20代の日本人が多いです。
また、フィリピンに永住し、日本の個人や企業から、ホームページや動画制作、SEO業務などを請け負ったり、アフィリエイトで稼いでいるフリーサンサーもいます。
フィリピンでビジネスをしている日本人
企業で働くのではなく、自らビジネスを起こし頑張っている日本人も少なくありません。
ラーメン屋や居酒屋などの飲食店。
旅行会社やダイビングショップなど、日本人を相手にした観光業。
そして、貿易業や学校経営など、幅広い分野でビジネスを行っています。
現地の文化もルールも知らない日本人が、ゼロから学んでフィリピンで事業を起こすのは大変です。
フィリピン人に騙されたり失敗を繰り返しながら、なんとか事業が軌道に乗るまで数年はかかるハズです。
数々の苦境を乗り越えて、事業が成功した日本人だけがフィリピンに残り、失敗した人は帰国します。
リタイアした日本人
温暖な気候で、物価も安いフィリピンは、リタイア後の移住先や、夫婦でのロングステイ先として人気があります。
将来、海外移住するならフィリピンと考えている人も多いのではないのでしょうか。
フィリピンは、35歳からリタイアメントビザが取得できる国で、これは東南アジア各国の中でいちばん低年齢なんです。
しかし、リタイアメントビザの取得には、2万ドル(約210万円)をフィリピンの銀行に預けなければならないめ、リタイアメントビザは取得せず、2年に1度、観光ビザを延長してフィリピンで暮らしている日本人の方が多いです。
リタイアしてフィリピンに永住している日本人は、年金はあるものの、それなりの蓄えをもっている人たちです。
お金がなくて日本へ帰れない日本人
フィリピンで暮らしている、貧しい日本人のことを困窮邦人と呼びます。
困窮邦人の多くは、フィリピーナを追いかけてフィリピンにやってきた日本人です。
日本のフィリピンパブで知り合ったフィリピン人女性のことが忘れられず、100万円程度のお金を持ってフィリピンにやって来た。
でも、フィリピーナは、お金がなく、年も取っている日本人に興味はありません。
フィリピン人女性から逃げられ、収入のメドもない日本人の中高年は、やがて困窮邦人となり、フィリピンの貧困層と同様の生活を強いられます。
日本に帰りたくても、航空券は買えないし、帰ったところで希望もない。
ビザも切れますので、不法滞在者として、フィリピンで日陰の生活を送ることとなります。
フィリピンで暮らす在留邦人の事情
海外赴任者やフィリピンで起業した人を除き、その他の日本人はなぜフィリピンに永住しているのか。
4つの事情を紹介します。
フィリピン人と結婚した日本人
厚生労働省が公表した「人口動態統計」によると,夫が日本人で妻がフィリピン人の夫婦は,国際結婚における国籍比で24.5%を占めていて、これは中国人妻に続いて2番目の多さです。
フィリピンに永住している日本人男性のうち、何割がフィリピン人妻を持っているか、正確なデータはありませんが、僕の周りだけでいうと、30代以上の日本人男性の約3割は、フィリピン人の女性と結婚しています。
結婚し、家族を持った日本人男性の大半は、日本には戻らず、奥さんの故郷であるフィリピンに残ります。
フィリピン人の彼女がいる日本人
フィリピン人女性の彼女ができて、そのままフィリピンに暮らしている人もいます。
フィリピンにいれば、女と知り合う機会はたくさんあります。
ソコソコお金を持っている50歳くらいまでの日本人男性でしたら、フィリピーナからモテますので、女には困りません。
若い人なら、将来、相手との結婚を考えることもありますし、中年男性なら、ダラダラと付き合っているうちに、そのままフィリピンに永住してしまうこともあります。
お金がない日本人の事情
日本に戻っても、お金がないので生活できないし、働く意欲も沸かない。
まして、航空券を買うお金はないし、滞在ビザの有効期限も切れている。
こんな日本人も少なくありません。
フィリピンでは、ローカルと同じレベルの生活をすれば、月5千円ほどのお金で暮らしていくことも可能です。
お金が無くなったら、肉体労働で小銭を稼いだり、フィリピン人から食べ物を恵んでもらうこともできます。
自分の意思には関係なく、お金がなくて日本に帰ることができず、そのままフィリピンで不法滞在をつづけている日本人です。
裕福な日本人
すでに十分な蓄えがある人や、不動産収入や役員報酬など、放っておいてもお金が入ってくる人は、フィリピンで酒と女とゴルフ三昧の生活が可能です。
そのような生活をしている人は多くはありませんが、裕福な人は、日本でもフィリピンでも働く必要がないため、フィリピンで高級コンドミニアムを購入し、年に数回、日本へ一時帰国をするような生活を送っています。
まとめ (永住はお金が必要)
今回の記事では、フィリピンの在留邦人の滞在理由と、永住の事情について解説しました。
海外移住先として、フィリピンは人気の国の一つに挙がりますが、永住や移住をするなら十分なお金が必要だということは忘れないでください。
蓄えがなく、収入の見込みもないまま、女を追いかけてフィリピンに来ると、悲惨な生活が待っています。