【海外移住者が解説】非居住者の年金手続きと受け取り方法

渡航と移住

非居住者になって海外移住をしたら、国民年金の加入や、いままで支払ってきた年金の受け取りはどうなるのか。

海外移住を考えている方にとっては重要な問題です。

日本の住民票を抜いて海外転出した場合、年金加入の条件や、受け取り方法が日本にいる場合とはおおきく異なります。

この記事では、海外移住を考えている人のために、非居住者の年金手続きと、海外での受け取り方法について解説します。

ちなみに現在フィリピンで暮らしている僕の場合は、50歳まで年金を支払い、海外移住を機に支払を止めました。

非居住者は国民年金の支払い不要

日本の居住者は20歳~60歳までの40年間(480か月)、国民年金への加入が義務付けられています。

しかし、住民票を抜いて海外に転出すると非居住者となりますので、公的年金の支払い義務はなくなります。

その上、移住時にお住いの市町村へ海外転出届を提出すれば、海外移住期間は合算対象期間(カラ期間)となり、年金を支払わなくても受給資格期間に数えられます。

また、移住先が日本との社会保障協定締結国に指定されていて、滞在中その国の年金機構に年金を支払う場合は、日本での加入期間と移住先での加入期間が合算され、年金受給額に反映されます。

・社会保障協定締結国 (2021年現在)

アイルランド、アメリカ、イギリス、インド、オーストラリア、オランダ、カナダ、韓国、スイス、スペイン、スロバキア、チェコ、中国、ドイツ、ハンガリー、フィリピン、フランス、ブラジル、ベルギー、ルクセンブルグ

海外移住後も任意加入は可能

老齢年金は保険料を40年間支払った人は満額受給できますが、支払期間が短ければその期間に応じて減額されます。

加入期間が40年未満の方で、将来の受け取り額に不安のある方や、海外転出期間中も年金を支払いたい方は、20歳以上65歳未満でしたら非居住者でも任意で加入できます。

特に、いままでの保険料納付期間が10年に満ちていない人は、年金が給付されませんので海外移住後も継続して年金に加入することを検討してください。

(年金が受給できる納付期間は平成29年8月1日より、25年から10年に短縮されました)

任意加入希望者は65歳まで(昭和40年4月1日以前生まれの方は70歳まで)、年金の加入を継続できます。

但し、任意加入期間中は、個人で掛け金の運用ができる確定拠出年金(iDeco/イデコ)の運用はできません。

任意加入の手続き

これから海外へ転出する人は年金事務所へ届け出を行い、現在の国民年金加入者から、任意加入被保険者への変更手続きを行います。

これは、継続加入を希望する人も、継続しない人も同じです。

この手続きを怠り、海外移住後も年金を支払い続けた場合、その間の保険料が給付金に反映されない場合がありますので注意してください。

任意加入被保険者への変更を行い、ひきつづき任意で年金に加入する場合は、保険料の支払は銀行または郵便局の自動引き落としが便利ですので、転出前、または一時帰国の際に手続きをしておくと良いでしょう。

任意加入するかどうかの判断基準は人それぞれですが、僕の場合は年金機構に訪問し、係の方へ自分の年齢や加入期間を伝えアドバイスを仰ぎました。

継続加入した方が良いと言われると思ったのですが、「あなたの場合、これから10年間延長して保険料を支払っても、支払った分の金額とそれによって増える受給額がほぼ同じなのでどちらでも良い」と言われました。

年金受給額の計算方法

海外移住される方は、まず、いままでの加入期間で老齢基礎年金や老齢厚生年金が、いくらぐらい受給できるかを調べてみてください。

老齢基礎年金

老齢基礎年金の受給額の計算方法は、その年の満額の支給額×保険料給付月数÷480か月です。

令和3年度の場合ですと、老齢基礎年金は満額で780,900円(月額65,075円)です。

例えば、いままで25年間(300か月)、年金に加入していた方でしたら

780,900円×300か月÷480か月=488,063円(年額)となります。

詳しくは日本年金機構の老齢年金ガイドを参照してください。

老齢厚生年金

会社員など厚生年金保険の加入者であった方は、原則65歳から老齢基礎年金に上乗せする形で老齢厚生年金が支給されます。

老齢厚生年金の受給額は、あなたが得ていた平均収入によって決まります。

平均報酬月額✕5.769÷1,000✕加入月数

例えば平均30万円の月収で20年間(240か月)、厚生年金に加入していた場合

30万円×5.769÷1,000✕240か月=415,368円(年額)

老齢年金の受け取り方法

年金の受給要件を充たしている人であれば、海外で暮らしていても年金を受け取ることができます。

年金の申請は、日本年金機構のホームページから年金請求書をダウンロードして請求します。

受給開始年齢になったからと言って、年金機構から連絡が来たり、自動的に年金の支払が開始されるわけではありません。

年金の支払いを受ける者に関する事項

年金は、申請時に指定する海外または日本国内の銀行口座に振り込まれます。

振り込まれる通貨は、フィリピンをはじめタイ、マレーシア、インドネシアなど東南アジアの銀行の場合はアメリカドルですので、現地の銀行でドル口座をもっている必要があります。

日本国内の銀行の場合は日本円で振り込まれます。

また、海外移住期間を合算して請求する場合は、海外移住期間を証明する下記のいずれかの書類が必要になりますので、帰国後、または一時帰国した際に、必要書類を用意して年金機構へ提出してください。

  • 住民票の移り変わりが記録された戸籍の附票(本籍地の市区町村へ申請)
  • パスポート(転出から転入までの期間の出入国スタンプが押印されているもの)
  • 出入国記録(法務省へ申請)

まとめ

  • 日本の住民票を抜いて海外へ移住した場合、年金の支払い義務はなくなる
  • 住民票を残して海外に行った場合は、日本居住者のため60歳まで支払義務がある
  • 海外へ転出する際は、年金事務所で任意加入被保険者への変更手続きを行う
  • 非居住者になっても65歳未満なら任意で継続加入ができる
  • 海外に住んでいても給付条件を充たしていれば年金を受け取ることができる

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MAMORU
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