フィリピンの性的同意年齢は、現在12歳となっていますが、2020年12月、フィリピン政府の下院は、性行為の同意年齢を16歳に引き上げる法案を賛成多数で可決しました。
2021年以降、16歳未満との性行為は、同意の有無を問わずレイプとみなされます。
この記事は、フィリピンのWEBメディア ABS CBNニュースの記事を基に作成しています。
世界の性的同意年齢
性的同意年齢とは、性行為の同意能力があるとみなされる年齢のことで、その年齢に達しない場合は、同意の有無を問わず犯罪となります。
性的とは、身体に触れるなどの行為も含まれ、性交に限った場合は性交同意年齢とも呼ばれます。
性的同意年齢は各国で異なります。
年齢 | 国 |
13歳 | 日本 |
14歳 | ドイツ、イタリア、台湾、中国 |
15歳 | フランス、スペイン、スウェーデン |
16歳 | アメリカ、カナダ、イギリス、スペイン、ロシア、韓国 |
若年の出産が多いフィリピン
フィリピンの性的同意年齢は現在は12歳以上になっていて、12歳未満との性交はレイプと定義されています。
中絶や離婚が認められないカトリックの国、フィリピンは、他国に比べて性的同意年齢が著しく低く設定されていました。
その結果、性行為や避妊の知識を持たない若年層がセックスを行い、毎日500人以上の10代の女性が、妊娠や出産をしています。
また、ユニセフの調査によると、フィリピンでは13歳~17歳の子どもの5人にひとりが性的暴力を経験しています。
今回可決された法案は、16歳未満の性行為は自動的に違法となり、最大で終身刑を課せられることになります。
但し、当事者同士が14歳以上で、年齢差が4歳以内の場合、または、12歳以上14歳未満で年齢差が3歳以内の場合はレイプとはみなされません。
また、16歳以上であっても、身体的、精神的な障害があったり、苦痛を受けた場合は、強姦とみなされる場合があります。
性的同意年齢の引き上げへの危惧
子どもを性被害から守る、今回の性的同意年齢の引き上げ法案は、誰もが賛成しているわけではありません。
13歳のときに出産したある少女は、「若年で子どもを授かれて嬉しかった。セックスの判断はカップルに任せるべき」と語っています。
また、マニラの貧困地域で青少年の支援を行っているソーシャルワーカーは、性的同意年齢を引き上げることで、若年層のレイプがさらに横行することを危惧しています。
性的同意年齢の設定は、暴行や脅迫による女性の被害者を守ることが目的ですが、16歳に引き上げることで、たとえば15歳と14歳の男女がキスをするだけで、それぞれが被害者と加害者になってしまうという側面も持っています。
日本の現状
日本の刑法で定めている性的同意年齢は13歳で、他の先進国と比べると低年齢です。
この法律は明治時代に制定されたもので、13歳に定めている確たる根拠は不明ですが、一説には、女の子の初潮の年齢に合わせているとも言われています。
児童福祉法によって、18歳未満の児童への淫行は刑事罰が科せられるため、実際の性的同意年齢は18歳だと言う考え方もありますが、強制性交等罪が懲役5年以上なのに比べ、淫行条例違反の罰則は1~2年以下の懲役と軽く、同等の罪に考えることはできません。
国連や人権団体は、性的同意年齢を現行法の13歳から、義務教育が終了する16歳に引き上げるよう日本へ勧告しています。