「海外に住んでみたい」「海外移住に憧れる」と考えている人にオススメしたいのが、「海外で働く」という方法です。
海外で長期間滞在するには、何らかのビザが必要になり、学生ビザやワーホリビザ(ワーキングホリデービザ)など、国によっていろいろなビザが用意されています。
しかし、学生ビザは多額の費用を要しますし、ワーホリビザには年齢制限があります。そこで、オススメしたいのが、就労ビザ(労働ビザ)を取得して、収入を得ながら滞在する方法です。
就労ビザは、海外の企業に雇用されて働く際に各国の審査を経て、発給されるビザです。国によっては、面接があったり、一定程度、現地語に精通していることを求められるなど、取得が難しい国もありますが、逆にビザの取得難易度が高くない国もあります。
今回は、日本人にとって、就労ビザの取得難易度が比較的低い「東南アジア」で働く方法や現地で働くことのリアルについて、詳しくご紹介していきます。
目次
海外移住のメリット
まずはじめに、東南アジアで働きながら海外移住を実現することをオススメする理由を3つ紹介します。
英語力を伸ばせる
東南アジアとひと口に言っても、シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシア、フィリピンなど国によって、英語が通じる度合いは異なります。
しかし、日本を離れることで日本語から離れ、英語を使う機会が増えることは間違いありません。
英語力を伸ばすには、まず英語を使う機会を増やすことが重要です。比較的ビザが取得しやすい東南アジアで海外生活をスタートし、英語力を磨いていくのはいかがでしょうか?
物価が高くない
シンガポールを除くと、ほとんどの東南アジア諸国で、家賃や光熱費、食費など生活にかかるコストを日本より、かなり抑えることができます。
国にもよりますが、住居はプールやジムなどのファシリティが充実したコンドミニアム(日本で言うマンション)に日本円で約4,5万円程度~住むことができます。
光熱費も電気・水道・通信費など全て合わせて、日本円で約5千円~1万円以下に収まることがほとんどです。
食費は、屋台・自炊・レストランをそれぞれどのくらい利用するかによって大きく変わってくるので、自分の予算に合わせて選んでいくといいでしょう
日本との時差が少ない
日本を離れても、家族や友人と連絡を取ったり、時に一時帰国したりなど、日本との関係は切っても切れないと思います。
時差があると、連絡が取りにくくなったり、帰国しにくくなったりします。また、仕事をする上で、日本側とのコミュニケーションが必要になることもあります。
日本との時差が少ないことが、意外にも快適な海外生活を送るポイントとなるのです。
海外で働く前にチェックしておくべきポイント
海外で就職することを決めても、まずは一度現地に行ってから最終的な判断を下すことをオススメします。次のようなポイントを確認する必要があるからです。
生活環境が自分に合うか確認
海外の気候は日本と比べると、1年を通して温暖で温度変化の幅も少なく安定していますが、日本の気候とは異なります。
体感温度や湿度の違いは、体調を崩す原因になることもあります。また、水道水が肌に合わずに肌荒れや頭皮の痒みなどを引き起こすこともあります。
水道は住む建物によっても良し悪しがあります(水道管の古さによります)が、少なくとも水質が合わないことによるトラブルが生じるかどうかは、事前の短期訪問で確認できます。
海外生活を送る上で、最も大切と言えるのが、健康です。
環境が自分の体質と合わない場合、具体的な対策を立てたり、移住プラン自体を再考する必要があるかもしれません。
生活する場合にかかる費用
日本と比べると「格安」などと表現される東南アジアの物価ですが、本当に格安で生活できるか否かは、個人差があります。
例えば、セキリュティのしっかりした住居は、一般的な現地人の住居より高額になりますし、日本人である私たちは、どうしても日本食が恋しくなり、高価な輸入食品に頼らざるを得ないことも出てきます。
住居のグレードや立地、セキリュティ、などをどこまで重視するか、食べ物にどれだけこだわるかで、生活費は大きく変わってきます。
一度移住予定の国を訪れ、スーパーやレストランのものの値段を確認し、現地の住居などを視察して、自分が住んだ場合にかかりそうな費用をある程度計算して、生活費をイメージしておくといいでしょう。
海外生活では、予想外の出費が必要になることもあります。ある程度、余裕のある生活を送れるかどうかを確認しておくことがリスクヘッジにもなるでしょう。
仕事の探し方と就職活動
東南アジアで働くことを決意したら、次は仕事探しに取り掛かりましょう。
日本人の仕事の探し方は次の3つのパターンがあります。
転職エージェントの求人情報
最も一般的でオススメできる方法です。
次の3社が有名ですので、登録して、日本人向けの求人を紹介してもらいましょう。
- JAC Recruitment
- REERACOEN(リーラコーエン)
- iconicJob (アイコニックジョブ)
取り扱っている求人は3社ともあまり差がない印象ですが、キャリアコンサルタントとの相性は転職の成否にもかかわってきますので、3社全てに登録して間口を広げておくといいでしょう。
掲示板の求人情報
海外在住の日本人向けのコミュニティー掲示板には、求人情報も出ています。
求人数は少ないですが、急募の案件が多い印象なので、トントン拍子で話が進む可能性があります。すぐに移住したい人にとってはオススメです。
知人のツテ
もし移住予定の東南アジアに知人がいるのであれば、その人を頼りましょう。海外の日本人社会はとても狭いので、知り合いの知り合いなどからの求人紹介も期待できます。
海外移住の成否は仕事選びにかかってくる部分も大きいですが、会社は入ってみないと分からないことも多いものです。
知り合いからの紹介であれば、ハズレの求人を引く可能性が低く、快適な海外ライフを送れる可能性が高まると言えるでしょう。
日本人向けの求人
日本人向けの求人で多いのは以下の3種類です。
- コールセンタースタッフ
- 営業職
- 工場・製造現場でのエンジニア
それぞれ、給与やその職種に就くメリットなどを見ていきましょう。
コールセンタースタッフ
コールセンターで働くことのメリットは、何と言ってもほとんどの求人が英語力不問であることです。
会社によっては、英語の学習に補助を出していたり、無料でレッスンが受けられるなどの福利厚生もあります。
「英語が話せないけれど、海外就職したい」「海外移住してから英語を勉強したい」と考えている人にはオススメの求人だと言えるでしょう。
日系企業の営業職
主に日系企業の担当につくことになりますが、日系企業であっても担当者が現地人であることが多いので、高い英語力が求められます。
ただし、東南アジアにおいては、現地人にとっても英語は第二言語であり、必ずしもビジネスレベルでスムーズに英語を話すことを求められません。
聞き返したり、言い換えたりしながらコミュニケーションが取れていれば、十分に営業職として働けるでしょう。
自分の英語力に磨きをかけたい人や英語を使って仕事をするという経験を積みたい人にオススメの仕事であると言えるでしょう。
工場の製造現場でのエンジニア
東南アジアには日系の製造業の会社が多く進出しています。その関係で、工場や生産現場での品質管理や工程管理、現場監督などができる人が求められています。
実務経験が必要になるので、応募できる人は限られていることがほとんどで、給与も他の職種と比べてやや高い印象です。
工場長など、重要な管理職の募集もあり、そのような求人の場合、給与は更に高い傾向にあります。
※コロナ禍以前の2019年時点での情報です。2021年現在のコロナ禍においては、求人件数がかなり減っており、コールセンタースタッフ以外の求人を見つけることが難しくなっています。
一旦、コールセンタースタッフとして就業し、状況が変わったら他の職種にジョブチェンジする方向を検討してみてもいいかもしれません。
転職・就職活動の進め方
面接はオンラインで行われることがほとんどで、渡航を求められることは少ないです。したがって、日本にいながら活動を進めることができます。
現地で実際に会社を見たり、直接会って面接を受けたい人は、自費で渡航する必要が出てくることを覚悟しましょう。
また、オンラインでの面接に慣れていない人は、カメラを見て話す際の自分の見せ方やアイコンタクトの取り方なども確認して、確実に自分をアピールできるようにするといいでしょう。
※コロナ禍以前の2019年時点での情報です。2021年現在のコロナ禍においては、労働ビザやその他必要になる要件の詳細や要否は非常に不安定で、刻一刻変化しています。その都度、公的機関から最新の情報を入手して、活動を進めましょう。
海外で働くことのメリットとデメリット
日本を飛び出し、海外で働くことには、良い面も悪い面も両方あります。
英語力が身に着く
英語が既に話せる人もそうでない人も、日本にいる場合と比べて圧倒的に英語を使う機会が増えます。
必要に迫られることで勉強にも身が入りますし、自然と英語力を伸ばすことができるでしょう。
異文化に対する理解が深まる
東南アジア諸国は、日本のような単一民族国家は少なく、多民族国家であるだけでなく、外国人も多い場合があります。
文化の違いから来る、物事の捉え方の違いには、新鮮な驚きを多くもたらしてくれることでしょう。様々な考え方に触れ、理解を深めることは何事にも代えがたい経験になるはずです。
ゆとりのある働き方ができる
会社や仕事内容にもよりますが、日本人であっても、日本のような長時間労働をしている人はあまり見かけません。
仕事よりも、私生活や家族を大切にするのがこちらのスタンダードであり、その考え方に沿うと、自然と無茶な働き方はなくなります。
余暇に趣味を楽しんだり、勉強に励むなど、日本では難しかったライフスタイルが実現できることでしょう。
職種によってはスキルが身につきにくい
職種によっては、仕事で一切英語を使わないことも珍しくありません。本社からの駐在員の接待など、雑務が多い場合もあるでしょう。
健康面で「もしも」のことがあったとき
医療費は基本的に全て自己負担になるため、急な医療費に対応できるようにする必要があります。
日本語が通じる病院を探しておく、通訳サービスを確認しておくなどの努力も必要になるでしょう。
資産形成や運用を考えなければいけない
老後の資産形成について、自分で考える必要が出てきます。日本の年金制度への加入を続けることもできますが、何がより良い選択かを今一度考える必要があるでしょう。
日本を離れて海外の東南アジアで働くことには、日本では得られにくいメリットがある反面、このようなデメリットもあります。
しかし、英語は自分で学ぶ環境を用意する、日本とは違う仕事のやり方を知るなど、スキルアップする方法はたくさんあります。
医療費に関しても、民間の保険に加入する、日ごろから自分で検診を受けて予防するなど、対策は立てられるはずです。
また、資産形成について考えるのは、日本にいても避けては通れないことでしょう。
日本で働いていても、何かしらのデメリットはあり、海外で働いた方がデメリットが大きくなるとは限らないはずです。
「海外に住みたい」「海外で働いてみたい」と考えているあなたにとっては、きっとメリットの方が大きいのではないでしょうか。
【まとめ】海外で働いて新しい人生をつかもう
日本人である私たちにとって、快適な日本を離れることには不安はつきものです。しかし、不安ばかりを大きくしてしまっては、チャンスを見逃すことにもなりかねません。
日本を離れてこそ改めて分かる日本の素晴らしさや当たり前だと思っていた日本の良くない点に気づくことは、あなたの人生の幅を広げてくれるはずです。
「海外移住」「海外就職」というと、なんだか大変なことのように聞こえたり、キラキラして見えて自分には無理だと感じてしまうかも知れません。
しかし、チャンスはたくさん転がっています。それを掴むか掴まないかは、あなた次第です。
前向きな気持ちでチャレンジすれば、きっといい結果が待っていることでしょう。