フィリピンのコロナ感染者の状況は、2021年1月現在、ピーク時の1/3まで減少して来ています。
但し、外出や出入国を規制するロックダウンは引き続き継続中。
この記事では、フィリピンのコロナ感染とロックダウンの状況を、在フィリピン日本大使館、およびフィリピン保健省の公式発表を基に解説します。
僕はこの期間、フィリピンに在住し実際にロックダウンを経験しています。
目次
コロナ感染者の推移と状況
新型コロナウイルスの感染状況と、2021年3月現在の規制についてお伝えします。
ロックダウン再び(2021年3月26日)
3月に入ってから、フィリピンでは新型コロナウイルスの感染者が急増しています。
2020年の3月、フィリピンのほぼ全土でロックダウンの規制が行われました。
- スーパーマーケットや銀行など、限られた店舗のみ営業許可
- 交通機関の停止
- 週に3日間、それも限られた時間のみの外出許可。
それから1年、少しづつ規制は緩和され、街には人の姿も増えてきていましたが、3月になってから感染者数が急増したため、また完全ロックダウンに逆戻りです。
変異株の蔓延なのか、人々の気のゆるみなのか、理由はわかりませんが、陽性者の数は、いままで最高だった昨年8月の2.5倍に達しています。
2021年3月18日現在 症例者 50,738名
世界でいちばん長いロックダウン。
政府は、コロナ感染者を抑えるための有効な手立てを見つけることができず、ワクチンが波及するまでとりあえずロックダウンで凌いでいるのが現実。
ロックダウンを一年間も続けきたのに、患者が減っていない現実を考えれば、ロックダウンにどこまでの効果があるのかは多いに疑問。
たぶん、フィリピンの感染は、家庭内で広がっている可能性が高いと思います。
感染者数(2021年1月4日現在)
フィリピン | 日本 | |
感染者 | 47万9千人 | 24万5千人 |
回復者 | 44万8千 | 19万8千人 |
死亡者 | 9千3百人 | 3千4百人 |
規制と街の様子
- 商業施設
フィリピン国内の移動はかなり緩和され、観光地のホテルやレジャー施設も、ソーシャルディスタンスを確保できることを条件に再開しています。
飲食店やショッピングモールも営業を再開していますが、コロナの感染を恐れている人たちはデリバリーやテイクアウトを利用しているため、どこも店内は閑散としています。
- 交通機関
コロナの感染防止対策が取られた民間の乗り合いバス(ジプニー)は、一部再開を認められていますが、台数が少ないため、現状は公共のシャトルバスが市民の移動手段になっています。
タクシーは営業を再開していますが、利用者は少なく空車が目立ちます。
- 外出
国民の外出は、役場から発行された外出許可証を持っている人に限られ、かつ、基本的に食料品や生活必需品の購入、銀行や郵便局など、生活に必須の目的のみに制限されています。
但し、10月以降、警察官による検問が緩んでいるため、現実は許可証を持ってさえいれば、外出目的を問われることはほぼありません。
また、15歳以下と65歳以上の人は、目的にかかわらず外出が制限されています。
尚、仕事の場合は、身分証明書と雇用証明書があれば通勤に支障ありません。
- 出入国
6月以降、日本とフィリピンを結ぶ飛行機は就航を再開していますが、大幅な減便となっています。
- 2021年1月のフィリピン航空のフライトスケジュール
日本からフィリピン
成田→セブ 1/16(土) 14:25発 18:50着
成田→マニラ 火・木・金・土・日 13:25発 17:35着
羽田→マニラ 水・日 15:20発 19:30着
関空→マニラ 火・木・金・土・日 15:05発 18:25着
中部→マニラ 月・水・金・土 13:20発 16:50着
福岡→マニラ 水・金・日 15:55発 18:45着
フィリピンから日本
セブ→成田 1/16(土) 8:00発 13:25着
マニラ→成田 火・木・金・土・日 7:15発 12:25着
マニラ→羽田 水・日 8:55発 14:00着
マニラ→関空 火・木・金・土・日 9:10発 14:05着
マニラ→中部 月・水・金・土 6:30発 11:20着
マニラ→福岡 水・金・日 9:45発 14:15着
就航が予定されている便でも、直前に欠航することがあります。
また、異変種コロナウイルスの蔓延によって、日本人のフィリピンへの入国は、1月15日までできません。
ロックダウンの種類
フィリピンのロックダウンは4種類あり、どれも日本のようなお願いや要請のレベルではなく、違反すれば逮捕や罰金が科せられる強制力のある規制です。
- ECQ(Enhanced Community Quarantine)
「強化されたコミュニティ隔離処置」
いちばん強いロックダウンの規制です。
鉄道やバスは運休し、私用での自家用車、バイク、自転車も走行も禁止。
操業できる企業は生活に不可欠な物資の製造販売業、また店舗は、スーパーマーケットや薬局、銀行、病院などに限られます。
12月現在の対象地域:なし
- MECQ(Modified Enhanced Community Quarantine)
「修正を加えた強化されたコミュニティ隔離措置」
営業を再開できる企業や店舗の業種が、ECQ下よりも拡大します。
また、自転車、バイクの走行が許可されます。
12月現在の対象地域:なし
- GCQ(General Community Quarantine)
「一般的なコミュニティ隔離措置」
飲食店はデリバリーまたはテイクアウトのみで営業が可能です。
公共交通機関および自家用車の走行が許可されます。
学校はオンラインまたはモジュールでの自宅学習を条件に再開が認められます。
12月現在の対象地域:
・マニラ首都圏全域、・カラバルゾン地域(地域4)のバタンガス州・西ビサヤ地域(地域6)のイロイロ市・東ビサヤ地域(地域8)のタクローバン市・バンサモロ暫定自治地域(BARMM)の南ラナオ州・北ミンダナオ地域(地域10)のイリガン市・南ミンダナオ地域(地域11)のダバオ市、北ダバオ州
- MGCQ(Modified General Community Quarantine)
「修正を加えた一般的なコミュニティ隔離措置」
民間交通機関は政府のガイドラインの元で走行が許可されます。
美容室やマッサージなどのパーソナルケア、ジムなどのスポーツ施設、また映画館や劇場の営業が条件付きで許可されます。
12月現在の対象地域:セブ州など、GCQ対象地域以外の全域
出典元:DTI(フィリピン貿易産業省)
2020年のコロナの状況とロックダウンの推移
フィリピンでは2020年1月30日にコロナウイスルの症例が確認され、ロックダウンが3月下旬から2021年1月現在も続いています。
1月
- 30日にフィリピンではじめてコロナウイルス症例が確認される。患者は中国、武漢から入国した観光客。
2月
- 中国本土、香港・マカオからの入国を禁止
3月
- 日本を含むコロナウイルス感染者の多い国からの入国を禁止
- 公立、私立、そして語学学校をすべて閉鎖。
- メトロマニラでの夜間外出禁止令が発令
- 国内移動の制限
- 16日 マニラを含むルソン島全域がロックダウン(ECQ)
- 日本とセブを結ぶフライトの欠航
- 外国人へのビザ発給を停止
- 学生および65歳以上は外出禁止
- 25日 セブ州全域がロックダウン(ECQ)
- 外出許可証の携帯義務
- アルコールの販売と飲酒禁止(リカーバン)
4月
- マスク着用の義務化
- マニラやセブなどコロナ感染者が多い地域はECQ、それ以外の地域はGCQへ緩和
6月
- スラム地域など、感染拡大が著しい地域を完全封鎖
7月
- ロックダウンに新たにMGCQが加わり 飲食店やショッピングモールが制限付きで再開
8月
- コロナ感染者のピーク
- 長期滞在ビザ保有者の入国制限を緩和
- 外出時のフェイスシールド着用が義務化
10月
- 公立学校が遠隔授業で再開
11月
- フィリピン観光省が国内旅行を推奨。リゾート施設やホテルが再開
12月
- フェイスシールドの着用が義務化
2021年1月
- 変異種のコロナウイルスの流行に伴い、日本を含む20か国からの入国を禁止
出典:在フィリピン日本大使館
観光客の入国見通し
観光大国のフィリピンは、2019年、海外から826万人(うち日本人観光客は68万人)の観光客を受けて入れていました。
それが、コロナ禍によって2020年1月~10月は8割減まで落ち込んでいます。
フィリピン観光省(DOT)では、壊滅的な被害を受けている旅行・観光業を支援するために、現在、国内旅行の促進を図っています。
それにより、11月からはホテルやリゾート施設の利用、旅行のための移動制限が緩和され、レジャーを楽しむ人たちも増えてきました。
今後は、台湾、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドなど、コロナの感染者が少ない国から、観光客を受け入れていく方針だと発表しています。
一方で、大統領府は、海外からの観光客の受け入れは、コロナワクチンが開発され、国民が接種できるようになってからだとも言っています。
ここからは、僕の個人的な考えですが、フィリピンが日本人観光客の受け入れを再開する時期は、日本がフィリピン人観光客の受け入れを認めるのと同時期になると思います。
その理由は、出入国の緩和は、日本、フィリピン双方向の往来が前提になるからです。
現在日本は、短期のビジネス目的に限り、ベトナム、タイ、豪州、ニュージーランド、カンボジア、シンガポール、韓国、中国、香港、マカオ、ブルネイ、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、ラオス、台湾からの入国を緩和しています。
相手国も、ほぼ同条件で日本人の入国を緩和することになります。
つまり、フィリピンへの日本人観光客の入国緩和は、フィリピン政府だけで決めるのではなく、日本政府との協議の上で決定されると思われます。
それがコロナワクチン開発後になるのか、感染者が減少した時点になるのかは、いまは誰にもわかりませんが、僕の希望的な観測では2021年の5月~7月ごろから、少しづつ、緩和されていくのではないかと思っています。
尚、フィリピン行きの航空券や、ホテルの予約は現在も可能ですが、コロナ規制によってキャンセルされることがあるので、先が見えてから予定を立てることをおすすめします。