フィリピンの女性から、生活費などのお金を求められている人に向けて、実際のフィリピンの物価と、生活にかかるお金をお伝えします。
僕の所へは、フィリピンのお米代や電気代などを質問されてくる方がとても多いのですが、その理由を聞けば、知り合ったフィリピン人から援助を要求されていて、それが適正な金額かどうか判断がつかないとのこと。
そのほとんどは、ダメモトで要求していると思われる莫大な金額。
お金目当てのGold Digger(ゴールドディガー)です。
ネットに出ているフィリピンの物価情報は、日本人留学生に向けて書かれているものが多く、現地の人たちの実際の生活費とは異なっています。
フィリピンに10年暮らし、貧困層の生活も見てきた僕は、月2万円以下の生活費で暮らしている家族がたくさんいることを知っています。
今回の記事は、特に貧困家庭の支出にフォーカスしています。
また、通貨はフィリピンペソ(PHP)ですが、参考までに日本円に換算した金額も併記します。
1PHP=2.17円(2020年11月現在)
目次
フィリピンの物価は日本の4割
はじめに、日本とフィリピンの消費者物価指数の比較をご覧ください。
日本 | 86.22 |
フィリピン | 39.25 |
物価指数はアメリカを100とした場合の数値です。
消費者物価指数とは、消費者が購入するモノやサービスなどの物価の数値で、数字が高いほど物価が高いことになります。
算出方法は国ごとに異なりますが、ザックリ言えばフィリピンの物価は日本の46%です。
フィリピン国内でも、特に首都マニラの物価が突出して高く、僕が生活しているセブとは2割ほどの違いがあります。
例えば日本で1,000円の商品が、マニラでは450円、セブだと380円。
このぐらいのバランスです。
それでは、現地で暮らしているフィリピン人のリアルな生活費を解説します。
食費は一日300円以下
フィリピン人の食生活は、ごはんを家で炊いて、おかずはお店で購入するケースが多いです。
お米代は1kgで40~60PHP (87~130円)
おかずは、街の惣菜店で買えば、1品5PHP(11円)から。
例えば、一か月間に6kgのお米を食べて、一食につき2品のおかずを一日三回購入した場合、米代が300PHP、おかず代は900PHP。
合わせて、月1,200PHP(2,610円)、一日100PHP(217円)
4人家族でしたら、4,800PHP(10,050円)の計算です。
日本の総務省統計局の「家計調査 家計収支編 2018年」によると、日本の2人以上世帯の食費の平均は79,348円。
フィリピンの物価の安さがわかります。
家賃は2,500円
日本人がフィリピンで暮らす場合の家賃相場は、15,000PHPからになりますが、貧困層のフィリピン人の場合ですと、1,000PHPの家賃の家に暮らしていることも珍しくありません。
広さは四畳半ほどで、周辺の環境も良くありませんが、貧困層が住居を選ぶ基準は、環境の良さではなく、仕事場に近いか、稼げる場所かです。
裕福層は30,000PHPほどの家賃の家に住んでいたり、自分で家を所有していたりしますが、一般的なフィリピン人の家賃は日本の1/10以下です。
ライフスタイルによって異なる電気代
フィリピンの電気代は1kwh当たり11PHPです。
家にエアコンと冷蔵庫があり、一日中、エアコンをつけているような生活をしていれば、電気代は、一か月4,000~6,000PHP。(8,700~13,000円)
冷蔵庫もエアコンもなく、薪でごはんを炊いているような家でしたら500PHP(1,100円)程度です。
水道代は地域によって幅があり、1m3当たり14~48PHP。
一か月ですと家族で300~500PHPです。
通信費は使う分だけ支払い
通話およびネットの利用料は、ポストペイドと呼ばれる月ぎめ支払いと、使う分だけ、通信費を前払いするプリベイドの2種類あり、中流階級以上の家はポストペイド、下の層はプリペイドを利用しています。
ポストペイドは月1,800PHP(3,910円)、プリベイドの通話料金の支払いは、50~500PHPまで選べ、通話料がなくなったら、またロード(チャージ)して使用します。
ちなみに、家にパソコンがあるのは中流家庭以上で、貧困層の人たちは携帯か、またはネットカフェを利用して相手と連絡を取り合います。
ネットカフェは5PHP(11円)/25分です。
フィリピンで高額なモノとサービス
物価の安いフィリピンですが、輸入品を中心に、日本と同じか、それ以上に高いものもあります。
おもな高額商品、またはサービスについて説明します。
医療費と薬代
医者にかかったり、薬が必要な場合は、意外と高額な費用を請求されます。
風邪で1回通院した場合、診察費は300~500PHP(652~1,087円)、薬代は約200PHP/1日分。
外国人も利用するような私立病院ですと、検査、治療、医薬品代で1回5,000~10,000PHP(10,100~21,700円)。
入院費用は、公立病院のエコノミールームが空いていれば無料で利用できる場合もありますが、一般的には入院費だけで1,500~3,000PHP(3.260~6,520円)/1日かかります。
そのため、貧困層の人たちは、よほどの症状でない限り病院には行かず、薬局の市販薬で済ませます。
また、各役場には無料で診察や薬を提供してくれるヘルスセンターという施設が併設されていますので、そこを利用する場合も多いです。
燃料費
石油やガス、石炭などの燃料費の物価が高いのもフィリピンの特徴です。
一般家庭に関係する商品としてはガソリン代とガス代。
ガソリンは1リッター約50PHP(110円)と日本と大差なく、バイクや車が移動手段となっているフィリピン人にとっては生活費を圧迫する支出です。
また、調理で利用するプロパンガスは、1ボンベ約150PHP(326円)。
大家族ですと、月に2~3本を消費します。
電化製品
洗濯機やテレビ、冷蔵庫などの電化製品は、日本、中国、台湾の輸入ブランドのため、日本で購入する価格と同じまたはそれ以上です。
性能やサイズによって値段が異なり一概にいくら、とは言えませんが、洗濯機、テレビ、冷蔵庫とも、だいたい15,000~20,000PHP(32,600~43,480円)。
中古で5,000~10,000PHP。
中流以下の家庭で、洗濯機と冷蔵庫を持っている家はごく少数ですが、テレビはほとんどの家にあります。
ただし、新品ではなく、拾ってきたり、もらい受けたものを修理して使っている場合が多いです。
一か月にかかる生活費
フィリピン統計局 2018年調査によると、1世帯の年間支出額の平均は、203,000PHP/年、16,900PHP/月。
(441,400円/年、36,700円/月)
例えば4人家族でしたら、ひとり50,750PHP/年、4,230PHP/月。
(110,300円/年、9,200円/月)
ただし、貧富の差が激しいフィリピンでは、この平均値と言うのはあくまで目安で、僕の知っている人たちの中には、娯楽費や被服費、子どもの教育費など、今回は記載しなかった項目の支出を含めて一か月10,000PHP以下で生活している家庭がたくさんあります。
ぼったくられないための3つの心がまえ
最後に、フィリピン女性から支援を求められたときの心がまえを3つご紹介します。
- 支援することを前提に話を聞かない
相手がその気になってしまい、支援しないとこちらが悪者扱いされます。
- 支払ったお金の領収書、または支払い前の見積書を送ってもらう
手書きの場合もありますが、見積書や領収書は、依頼すれば支払先が発行してくれます。
- 要求しているお金の具体的な明細を聞く
単に生活費が足りないからいくら送れ、と言った要求は無視して、なににいくら足りないのかを確認してください。